島根県 伊藤孝子
私たち栄養士は、栄養士養成過程を卒業すると栄養士に、管理栄養士養成過程を卒業し国家試験に合格すると管理栄養士になります。その後、ほとんどの管理栄養士・栄養士は、ひとつの決まった職場で働いていますが、地域活動栄養士は決まった職場を持たず、地域の中に入って「毎日違うところ」で仕事をしています。
各職域で経験を積んだ後、または、自分の子育てや介護などの経験を積み、その経験を生かしてフリーで仕事をしています。
働く場は、市町村・公民館・事業所・医療機関・教育現場・マスコミ・スポーツクラブ・料理教室や健康教室の主宰などなどさまざまです。今年度から始まる「特定保健指導」も私たち地域活動栄養の活躍の場だと思っています。
「毎日違うところへ」出向くということは、毎日出会う対象が異なります。乳児・幼児・小学生・中学生・高校生・大学生・新卒から働き盛りの社会人・地域の婦人会・地域の高齢者等です。元気な方はより元気に、出産を控えたママさんには安心を、また医療機関では疾病を抱えた方の食生活改善の支援をし、QOLの向上のため頑張っています。
決まった職場がないということは、守られているものがないということです。ひとつの仕事が評価されれば「次の仕事がある」。そういう厳しさの中で仕事をしています。そのために、自分のスキルをあげるための努力は欠かせません。アンテナを十分に張り巡らせていないと、めまぐるしく変わる情勢から取り残されてしまいます。人をあてにして待っていたのでは、情報は入ってきません。私たちには「広く浅い」ではなく、「広く深い」知識が求められますので、母子・成人・介護・病態・カウンセリングなど幅広い分野の研修を受講しています。日本栄養士会の生涯学習の受講は必須だと思っています。
管理栄養士・栄養士の資格の他に、糖尿病療養指導士・ケアマネージャー・健康運動指導士・サプリメントアドバイザーなどの資格を合わせて活動している人もいます。
毎日行く先も違えば出会う対象も違うので、楽しく仕事ができる分、仕事の内容について自分一人で負う責任をとても重く感じています。しかし、一度経験すると「ヤミツキ」になります。毎日出会いがあり、反響が即返ってきます。自分がした仕事に対しての評価がすぐに見えるということは、大きな魅力です。
今私は、依頼されてする仕事と自分で企画してする仕事をしています。依頼されてする仕事には、企画から関わるものと、講師部分だけのものがありますが、お互いに納得のいく仕事をしていきたいと思っています。自分で企画し実施している教室として、子育て中のお母さんを対象に、「取り分け離乳食ランチョンセミナー」をしています。みんなで一緒に作って親子で食べることで、個別対応の離乳食の体験だけでなくお母さんの息抜きにもなり、需要は多く要望にできるだけ応えられるといいなと思っています。
栄養士として一日でも働いて報酬を得たら、もう個人事業主なので、毎年確定申告をしています。仲間の中には、夫の扶養の範囲内で働いている人もいれば、開業栄養士としてバリバリ働いている人もいます。私は、働き始めは子供の成長に合わせて働いていましたが、フリーという立場で、医師や看護師・保健師・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士・臨床心理士などの他職種とも連携をとりながら、専門性を生かして活動の場を広げてきました。今は独立して仕事をしています。働き方を自分のライフスタイルに合わせ自由に決めることができるのが私たち地域活動栄養士の特徴です。
インターネットやマスコミなど、情報が溢れる今日、正しい情報と間違った情報を整理し、生活に結びつき個々に合ったアドバイスをしていくことが、私たちの役目だと感じています。