(社)佐賀県栄養士会地域活動栄養士会 蘭 信子 「ヘルスランチ あららぎ」を起業して奮闘中
≪佐賀県から≫ 佐賀県は、北は玄界灘、南は有明海、県の中央に佐賀平野がひろがり、 海の幸とたくさんの農産物に恵まれた県です。私が住んでいる佐賀市は、 人口が23万人の小さな田園都市で、県のほぼ中央に位置しています。
 佐賀県で生まれ育ち、病院の栄養士として32年勤務しました。病院勤務時代は、既に色々な病気になった人を治療する入院患者さんのための食事提供でしたが、在宅の患者さんに、せめて昼食だけでも栄養管理を行なったお弁当を提供したいと強く思いました。この勤務を経て、経験を生かせる自分でできる仕事をしたいと思いがふくらんで、"ヘルスランチ あららぎ"を起業しました。 起業準備のために、近隣の会社に、まず4日間サンプルを持参して企業訪問を行い、意見と反応を得ました。値段や味についての感想(味は良いという感想でした)、盛り付けやご飯の量についても意見をもらい、改善して何とかやれると確信しました。次に資材や食材の市場調査をして厨房業者、工事関係者からの見積もりを検討し、自宅の駐車場の一部を改築してミニ厨房を作り、佐賀中部保健福祉事務所の指導の下、飲食店営業の認可を得て平成18年8月18日にオープンしました。 《開業前の準備過程の内容をまとめてみました》
平成18年6月5日 | 近隣の会社にサンプルを持参して、企業訪問を行なう事を決めた | 6月11日~12日 | 業務用スーパー等に市場調査 | 6月17日~18日 | 事務所用のプレハブハウスの検討 | 6月19日 | 県庁へ事業開始に当って手続き等の相談に行く 県への手続き等はなく、相談等は佐賀県地域産業支援センターに行くように紹介していただく | 6月27日~30日 | サンプルを持って企業訪問 | 7月7日 | 厨房の平面図を佐賀中部保険福祉事務所に提出、アドバイスを受ける | 7月13日 | 平面図を再度、佐賀中部保健福祉事務所に提出してOKをいただく | 7月22日 | 建設業者へ工事開始依頼 | 7月25日 | スタッフとして2名とあららぎと3人で事業開始に当っての会議を行なう | 8月15日 | 厨房工事完成 | 8月16日 | 佐賀中部保健福祉事務所の監査 | 8月18日 | 11食・試食6食より開始 |
厨房です
★理念・・・ま心のこもった夢のあるお弁当の提供
基本方針 1.安全で美味しく栄養管理されたお弁当 2.食中毒を起こさない 3.ま心をもって作り、夢を届け、健康を維持していただき、食育にもつなげる 4.手作りをモットーに冷凍食品、既成品等はなるべく使用しない 【業務内容】 1.毎日の業務 * 昼食・夕食のお弁当宅配 宅配数 1日 昼食 50食前後 夕食 30食前後(その内昼・夕食共提供者7食前後) 2.数箇所の会社の健康教室開催等に弁当提供 ①糖尿病・メタボ教室 ②職場の勉強会 ③医師会主催の糖尿病教室 ④ 一般の会議に弁当提供(当弁当を基本にして予算に応じている) ⑤ 法事(7日毎の)に弁当提供(当弁当を基本にして予算に応じている) * 注文者の中に、甲状腺機能障害者1名・ワーファリン(抗疑血薬)服用者1名 人工透析者1名(価格700円)・主食が再飯1名とお客様の状況に応じて提供 スタッフを紹介します!(後ろにもう一人います...)
 栄養士 2名(うち一人は蘭) 調理師 1名 主婦 2名 で5名です。
| | 7時 | 8時 | 9時 | 10時 | 11時 | 12時 | 13時 | 14時 | 15時 | 16時 | 17時 | 18時 | | 蘭 | | | | | | | | | | | | | | 栄養士 | | | | | | | | | | | | | | 調理師 | | | | | | | | | | | | | | 主婦A | | | | | | | | | | | | | | 主婦B | | | | | | | | | | | | | |
|
私の1日の大まかな流れ! 5:30 | 起床・献立の修正 栄養量のパソコン入力 | 6:15 | 厨房へ出勤⇒・だしをとる ・下処理の準備・下処理 | 7:00 | ・家族の弁当作り・朝食 | 8:00 | 厨房へ⇒調理、盛り付け | 11:20 | 配達の準備・配達 | 13:00 | 配達終了後、買い物 | 14:00 | 夕食の調理 | 16:00~16:30 | 夕食の配達開始 | 18:30~19:00 | 配達終了 | 19:00~21:00 | 買い物 | 21:00~ | 家族の夕食準備、夕食 献立作成、修正 |
※ 献立作成に追われているが、予定していた献立を栄養計算すれば過不足が生じて調整に時間がかかる。 ※ 食材調達が予定通りに出来るといいが、高価格や食材がないとき、反対に安価な食材があった時それを利用して献立変更を行い時間を費やすことがある。 ※ 食材は必ず自分の目で確かめて購入するので、その分時間もかかる。 【弁当の内容】 ・1食分のエネルギー 500~600kcal ・1食分の塩分 3~4g ・1食分の価格 500円 ・ 主菜となる食品が、肉・魚・卵・大豆製品等あるのでその食品を用いて以下のようなサイクルで献立を考えています。 1日目 魚料理と他4品、ご飯200g 2日目 卵料理と他4品、ご飯200g 3日目 肉料理と他4品、ご飯200g 4日目 大豆製品と他4品、ご飯200g ・ 副菜の栄養量の目標量 エネルギー 260kcal前後 蛋白質 18~20g 脂質 10~13g カルシウム 170~200mg 食物繊維 4~5g 塩分量(現在) 2.5~3g ⇒  普通食 ⇒ 人工透析食 なすと海老の甘辛煮 ⇒ 天ぷら もろ胡 ⇒ ドレッシングかけ エネルギー:271kcal(おかずのみ) ⇒ 361kcal たんぱく質:19.1g ⇒ 21.3g 脂 質:13.2g ⇒ 17.1g 塩分量:2.8g ⇒ 1.9g 【休みについて】 土曜日・日曜日・祭日はお休み ※但し、まとまった数量の注文をいただいた時は提供させていただいています。 【喫食者の主な感想】 ・ 最初は味が薄かったけど、今は慣れて美味しかよ。 ・ 色々品数が多いから嬉しいです。 ・ 美味しくて今日はなんのご馳走が来るかと楽しみです。 ・ 安心して食べられます。 ・ このお弁当を食べてから、他の弁当は塩辛くて食べられません。 ・ 野菜が多くてありがたいです。 【2~3週間喫食した利用者の状況報告】 ※改善された方々で、報告を受けた数のみ 体重減少した人 | 6人 | 血圧低下した人 | 2人 | ヘモグロビンA1cが改善された人(昼、夕2食利用) | 1人 | 血糖値維持している人 | 1人 | 胆石症だが夕食に食べても痛まない人 | 1人 | 排便後の便が水洗に浮くようになった人 | 1人 | 腎臓疾患者の人工透析導入時期が三ヶ月延びた人 (食事指導数回あり) | 1人 |
腎疾患者の検査値が改善した人1人 | (食事指導数回あり) | 2月1日 | 4月12日 | 5月10日 | 尿素窒素 | 32.9 | 30.9 | 21.8 | クレアチニン | 1.86 | 1.74 | 1.79 | カリウム | 6.1 | 4.8 | 4.6 |
《現在》 開業して2年が経過しましたが、余分に資金を持たずにスタートしたため、目標数(3ヶ月で60食)を達成できず、資金繰りに困りました。また、スタッフを十分確保できず、配達時間が遅くなった時もあり、ただ謝って頭を下げるだけのときもありました。しかし、逆に「気を付けて帰ってくださいね」とお客さんに声をかけていただくこともあり、胸が熱くなることも度々ありました。狭い路地や曲がりくねった角々を曲がりながら、時間までに届けなくていけない、日が落ち暗くなったり・・・焦りと苛立ちと葛藤しながら配達しております。未熟な運転のために車を傷つけたりと決して平坦な道ではありませんでした。 個人宅への配達は手渡しがほとんどで、その時、一言二言でも会話をしようと心がけています。そこで味付けや献立についての意見等が聞けたり、その人の健康状態などの会話もできます。開業当初からお弁当をご利用いただいている方、途中からご利用された方々から、色々の感想をいただいた意見や、このお弁当を食べるようになった後、血液検査が改善された報告なども受けたり、「我が家の健康を預けていますので、無理しないで頑張ってください」とか、「私の生きている間はお願いしますよ」と本当にありがたい明日への活力をいただいております。 食材については大半を県内産にこだわり、冷凍食品や既製品を使用しない安全・安心のお弁当提供に努力しています。メニュー表を添付して、一言メモ欄を設け、食材に含まれる栄養素や働き、また、メニューについての説明・情報提供・アドバイス等を行なっています。 今は、お弁当を届けたいという情熱で多忙な日々を過ごしていますが、ま心こめた仕事をしてもっと頼りにされるお弁当屋さんを目標に、欲を言えば、人を雇用して長期存続のために、もうすこし利益をあげる経営観念も身に付けていきたいと思います。 |