全国からこんにちは!《千葉県》
千葉県地域活動栄養士協議会
井福 惠子
千葉県の地域活動栄養士協議会会員ではありますが、一般社団法人日本乳業協会に常勤し、千葉から千代田区の九段下に通勤しています。全国の乳業メーカーおよび関連団体が会員になっている団体で、東京と関西に管理栄養士が3人ずつ相談員として在籍し、牛乳や乳製品に関する相談への対応と食育事業を行っています。
私たち東京相談室が行っている食育授業等についてお伝えいたします。
① 小・中学生対象に「わくわくどきどきミルク教室」
② 食育に携わる養護・栄養・給食主任の先生方の研修会
③ 家庭教育学級・学校保健委員会などで勉強会や料理講習会
④ 食育応援
① わくわくどきどきミルク教室
テーマは「学校給食に毎日牛乳が出るのはなぜ?」
A)1コマ授業
総合学習や生活科、家庭科、食育の授業として小学校は45分、中学校は50分で実施。
内容
ⅰ)乳牛について知る
私たちは牛柄のエプロンのユニフォームで、ミルク教室を始めます。「牛乳好きですか?」から始まり、「牛乳は何の動物のミルク?」「牛を見たことありますか?」「それでは、牛のミルクを搾るところは何個あるでしょう?」と問いかけ、数を当ててもらいます。ほとんどの人が6個と答え、中には自信を持って8個と答える先生も。正解は4個。実物大の牛の布を広げると歓声が上がり、「牛はほかにも4つ持っているものがあります。何でしょう?」の問いに「足」の答えが聞かれ、高学年は「胃袋」と答えてくれます。「1番目の胃袋は、お相撲さんが入れるくらいの大きさです。」胃袋が4つある理由と餌について説明します。
ⅱ)牛乳に多い栄養は?
「毎日給食で出る牛乳、残さず飲んでいますか?」と問いかけ、牛乳、コーラ、オレンジジュースの栄養比較グラフから、牛乳に含まれる栄養の種類と量を確認してもらいます。コーラのグラフを見て「炭酸飲料は骨が溶けるって聞いたことある。」という声が多く聞かれます。「骨は溶けないけど、砂糖が多いとカルシウムはオシッコや便と一緒に出てしまいます。」オレンジジュースのグラフでは、「ビタミンCが多い!」の声。最後に牛乳のグラフを見て、「うゎ、カルシウムが多い!」「ビタミンB2も多い。」「ビタミンCが無い。」といろいろな声が飛び交います。「給食ではビタミンCを含んでいるものが毎日出ています。何でしょう?」「野菜!」「そう、野菜も残さず食べましょうね。」「牛乳に多いカルシウムは、体の中でどこにありますか?」「骨!」の答えが出ると、子供と大人の上腕骨の模型を見ながら、骨の成長について話します。折れない骨にするために、カルシウムの貯金が必要であること。小学校高学年から中学生時代が、一番多く貯められる大切な時期であることを伝えます。
ⅲ)手作りバター
栄養の話が終わると、体験学習です。各自に生クリームが入ったプラスティック容器と割箸、プラコップを配り、「自分のバターは自分で作ります」と、ポイントを説明し、皆で振り始めます。クリームが動かなくなったら、割箸で混ぜます。「高速回転で、納豆を混ぜる要領ですよ。」撹拌を続けると突然白い液体が出てきます。液体は必ずプラコップに出し、また混ぜます。2回出たら終了。「ハイ、出来上がり。」と、割箸で取り出すと「わぁ~バターだ!」「何色?」「黄色!」「この色は牛が食べた草の色。カロテンという栄養で、体の中に入るとビタミンAになります」「白い液体は、バターを作る時にできたミルクなので、バターミルクと言います。飲んでみてください。」「美味しい、ちょっと甘い!」できたバターは食パンにつけて試食。「家のバターより美味しい!」「お母さんにも食べさせたい。」「家でも作れるの?」「振るのはチョット大変だったけど意外と簡単だった。」等など、子供たちの感想が飛び交います。最後に後片付けをした後、牛乳と骨の関係をおさらいし「寒くなり、冷たい牛乳は苦手でもチョット我慢して飲みましょうね。」とまとめの話をします。
B)2コマ授業
小学校5~6年生対象に100~110分間で調理実習を伴った家庭科の授業。
内容
1コマ授業の内容+調理実習になります。
担当教諭の依頼に沿って、牛乳でこねた「フルーツ白玉」か「カボチャと木の実のヨーグルトパンケーキ」と、麦茶ミルクのセットです。白玉粉をこねる順番をジャンケンで決める班、テキパキと女子がリードする班、上手にキウィフルーツを切る男子など様々です。
担任教諭も交えての試食は、楽しく賑やかです。「水でこねた白玉団子よりモチモチして美味しい!」「麦茶ミルクが美味しい!」「家でも絶対作る!」など、まとめの時間に率先して感想を述べてくれます。体験学習で私たちが気をつけていることは、牛乳アレルギーやフルーツアレルギーの子供がいないかの確認を取ることです。なるべく同じメニューで体験できるよう、先生と話し合って水や豆乳で対応します。
C)中学生から大学生対象
特別支援学校からの依頼は、小学生から高校生までと幅が広いですが、同様に体験学習を入れて実施しています。また、中学校からは寒くなると牛乳の飲み残しが増えるとのことで、秋口に栄養教諭や養護教諭からの依頼があります。クラス単位での内容は小学生とほぼ同じですが、牛乳飲用量と骨密度の関係や体脂肪率との関係のグラフを提示し、牛乳の必要性を説きます。学年単位の場合は、パワーポイントで「成長期における牛乳の役割」等のタイトルで講話し、バター作りを入れます。全校生対象の場合はパワーポイントのみでの講話をいたします。中学生は、問いかけに無反応だったり、体験学習ではふざけたりしますが、後日先生から送られてくる感想文を見ると、話をよく聞いて理解してくれたことが分かります。本音と建前を使い分けている年代を感じますし、ミルク教室後の週は、牛乳の残量が減ったという嬉しい報告もあります。
大学や短大で、将来栄養士・管理栄養士を目指している学生を対象に、セミナーも開催しています。骨代謝学や栄養生理学の他大学の教授やお医者さんに講演をお願いし、骨密度測定も実施します。私たち相談員は、骨密度測定後の事後指導を担当し、牛乳・乳製品の必要性を説き、日頃の食生活を見直す機会にしてもらっています。 また、大学によっては、管理栄養士として相談員のような職場もあることを説明してほしいとの要望もあります。私たちのみならず、乳業会社では、管理栄養士が同じように出前授業をしているところが数社あります。同じ乳業で食育を仕事としていますので、資料や最新の情報交換などを行っています。
② 栄養・家庭科・養護の先生方の研修会
栄養教諭や家庭科教諭、養護教諭の先生方からの依頼で、牛乳・乳製品を使った勉強会や料理講習会を行っています。牛乳・乳製品に関係する栄養を主に、牛乳類の表示についても話します。牛乳類は種類別牛乳・加工乳などに分けられており、どれも白い液体ですが、原材料によって種類別が異なります。また、牛乳パックの表示の意味、商品名の意味するところなどを伝えます。調理実習では主に牛乳・乳製品を和風に使ったメニューです。学校給食に利用できるメニューや、家庭科で生徒が実習できそうなメニューを紹介し、意外な利用法や和の調味料ともよく合うことを確認してもらいます。
③ 家庭教育学級・学校保健委員会などPTA対象の勉強会や料理講習会、保護者対象には、成長期に必要な栄養と将来の骨粗しょう症予防についてなどの講話後、家庭で簡単に利用できるメニューを紹介します。主食、主菜、副菜、デザートの実習です。受験生の夜食用、親子で作れるメニューなど、どこにでもある材料で手軽に作れ、牛乳・乳製品を加えると栄養アップで美味しくなることを実感してもらいます。
④食育応援
私たちが食育授業で使う資料は、東京と関西の相談員6人で作りました。
小学校低学年用、高学年・中学生用、高校・大学生用、大人用など色々あります。子供たちが、牛乳を正しく理解し、自分の成長と健康に役立ててほしいとの思いから、原則、資料は無料でお送りしています。先生方が授業で使いたいとの依頼が多く、地方にお送りすることも多々あります。
最後に
日本乳業協会のホームページや、経済広報センター発行の出前授業データブックを見た先生からの依頼で、ミルク教室は実施します。私たちの食育授業に経費は要りません。すべて当協会負担で実施しています。全国に対応できないのが残念ですが、東京相談室は関東甲信越地域、関西は二府四県の地域です。昨年度、東京相談室でのミルク教室で出会いがあった児童生徒は約9500人、先生や保護者の方は1500名でした。毎年同じ学年に申し込んでくださる学校も多々あり、少しでも子供たちにわかりやすく、楽しく伝えられるように日々学びながら、新しい情報にも耳をそばだてて前進したいと思っています。
興味をお持ちの方は日本乳業協会のホームページをご覧ください。