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【東京栄養サミット2021レポート #04】岸田総理が、中村会長の言葉を引用「栄養の力で人々を健康に、幸せに」を世界に発信

「東京栄養サミット2021」レポート ♯04

岸田総理が日本政府のコミットメントを発表、トリを中村丁次会長がつとめる

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東京栄養サミット2021でスピーチを行う岸田総理/首相官邸ホームページより引用

 12月7日(火)、8日(水)、「東京栄養サミット2021」が日本政府によって開催され、国内の参加者は対面、海外からの参加者はオンラインというハイブリッド形式で執り行われました。
 栄養サミットは、オリンピックイヤーにオリンピックの主催国が開催をし、今回で3回目。地球規模で栄養課題について考え、取り組んでいくためのイベントで、各国の政府、国際機関、民間企業、市民団体などのリーダーが集まり、健康・食などをテーマに世界中の人々の栄養改善に向けて幅広く議論し、今後の行動の方向性についての共通認識を深めるものです。栄養改善に向けて実効性のある目標を設定するために、国や企業、団体それぞれがコミットメントを発表すること(自らが実践する内容を誓約すること)が重視されているのが特徴です。

 7日(火)日本時間20時から行われたハイレベル・セッションでは、約30カ国の首脳や閣僚、国際機関、民間企業、学術団体、市民の代表者ら50名ほどが、栄養不良の改善に向けたそれぞれの取り組みについて発表しました。各演者のスピーチは、YouTubeを通じて日本語、英語のほかフランス語、スペイン語、アラビア語等でも同時通訳で全世界に発信されました。
 開会のスピーチで岸田文雄総理大臣は、全世界で1億4000万人以上の子どもたちが発育阻害に苦しんでいること、その一方で、先進国だけでなく途上国も含めて世界の約20億人が糖尿病等の食生活に関連した疾患に苦しんでいること、さらに新型コロナウイルスの影響で重度の栄養失調に苦しむ子どもが1360万人も増加している現状を挙げたうえで、「2030年までに飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進するというSDGsの目標を、今ここで思い出しましょう。今こそ、私たちの行動が必要です」と世界に呼びかけました。
 岸田総理はその後、日本が今後3年間で3,000億円、28億ドル以上の栄養に関する支援を行うこと、資金の援助だけでなく日本の経験に基づく知見を共有すること、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成等に貢献することをコミットメントとして明らかにし、「栄養の力で人々を健康に、幸せにする。これは、日本栄養士会会長の中村丁次氏の言葉です。日本は、この思いを世界に広げます」と宣言しました。

 さらに、海外への支援にとどまらず、国内においては「イノベーションやデジタル化の推進、科学技術も活用しながら、栄養と環境に配慮した食生活、バランスのとれた食、健康経営などの推進を通じ、国民の栄養状況をさらに改善していく決意です」と明言。また、このハイレベル・セッションでは、世界の様々な関係者(各国政府ハイレベル等)が登壇し、中村丁次会長がトリをつとめ、日本栄養士会のコミットメントがビデオメッセージで発表されました(以下、動画参照)。

レガシーとしての「東京栄養宣言」が発出、取り組むべき栄養の5つの方向性

 8日(水)には、①健康、②食、③強靭性の3つのテーマでパネルディスカッションが設けられ、各国の政府、国際機関、民間企業、学術団体などさまざまな分野のリーダーがパネリストとなり、今後取り組んでいく方向性について活発な議論がありました。また、これら3つの横断的なものとして、説明責任と財源の確保についても議論がなされました。
 外務省の発表によると、2日間のサミットにおいて少なくとも66カ国、20社を含む156のステークホルダー(関係者)から331のコミットメントが発表され、栄養関連で合計270億ドル(約3兆600億円)以上の資金の拠出が表明されたこととなり、過去の栄養サミットを上回る成果が得られたとのこと。ちなみに2013年にロンドンで開催された栄養サミットでは、39カ国19企業を含む90のステークホルダーがコミットメントを発表し、資金の拠出の表明は合計で41.5億ドルだったことと比較しても、「東京栄養サミット2021」の規模の大きさが明らかです。そして、2030年までに栄養不良を終わらせるというSDGsの目標「2、飢餓をゼロに」を達成するために、「東京栄養宣言(グローバルな成長のための栄養に関する東京コンパクト)」が発出されました。
 「東京栄養宣言」では、5つの項目について、今後、取り組むべき栄養の方向性が示されています。

1.健康:栄養のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)への統合
2.食:健康的な食事の推進と持続可能な食料システムの構築
3.強靭性:脆弱の状況や紛争下における栄養不良に対する効果的な取組
4.説明責任:データに基づく説明責任の促進
5.財政:栄養の財政への新たな投資の動員

 この宣言は、「我々、東京栄養サミットの参加者は、栄養不良を終わらせるために更に努力し、健康的な食事と栄養改善への公平なアクセス達成に向けて協力するために、団結している。政府、国際機関、民間企業、市民社会及び学術界などの幅広いステークホルダーや多くのセクターが行動を加速させる必要がある」という考えのもと、策定されています。

 2030年「飢餓をゼロに」を達成するために また、この東京栄養サミット2021の開催にともない、国内外でさまざまな行事が公式サイドイベントとして認定を受けて実施され、その数は120以上にもなりました。公益社団法人 日本栄養士会が主催した「ニッポンの栄養100年を、世界へ 世界の栄養課題の撲滅に向けて、いま、日本栄養士会が果たすこと」もその一つです。 管理栄養士・栄養士は東京栄養サミットに参加したステークホルダーの一員として、「健康的な食事と栄養改善への公平なアクセス達成」に向けて、食・栄養の専門職としての職能を大いに発揮し、「行動を加速させる」ことが求められています。
 次回の栄養サミットは2024年にフランスで開催されます。日本栄養士会は、次につながる大きな一歩を、今、踏み出します。

■「東京栄養サミット2021」レポート#01を読む
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