日本栄養士会は、12月7日(火)、8日(水)の公式サイドイベントにて、世界の栄養不良の撲滅に向けたコミットメントを発表しました。これにともない、日本国内では、全国各地に管理栄養士・栄養士が訪問する「ニュートリション・エデュケーション・カー」と災害支援車両(JDA-DAT号)の、利用申請の受け付けを開始しました。ぜひ、ご応募ください!
2021年12月7日(火)、8日(水)、SDGsの達成に向けて「東京栄養サミット2021」が開催されました。2030年、さらにその先の未来を描くうえで栄養状態の改善、栄養問題の撲滅は絶対であり、サミットでは、各国政府ほかステークホルダーによりこうした具体策について協議、コミットメントとして、それぞれの未来に向けた行動、誓約が発表されています。
日本栄養士会会長の、中村丁次です。
誰一人取り残すことなく、すべての人々が健康の増進、疾病の予防、治療、さらに機能回復のサービスを享受できる社会の創造に、栄養改善は不可欠です。また、栄養は、SDGs全体を底辺から支える役割を担っています。このような栄養改善の実践的リーダーが、管理栄養士・栄養士です。
日本人は、近代化が進み、栄養学が導入される以前は、多くの栄養欠病症に悩まされていました。第二次世界大戦時による飢餓状態の中で、日本の栄養士は誕生しました。栄養士は、行政機関、福祉施設、学校、病院等で栄養の指導を行い、全ての国民が普段の生活の中で健康な食事と栄養教育にアクセスできる社会の創造に貢献してきたのです。日本栄養士会は、政府と連携し、管理栄養士・栄養士の育成と質の向上を図り、国民の栄養改善に貢献してきました。
この経験を活かして国際的な栄養改善に貢献すべく、東京栄養サミット2021においてコミットメントを発表します。
2030年を目標に、アジアを中心とした国に、管理栄養士・栄養士等の教育、養成、さらに栄養士制度の創設や、持続可能な栄養改善の基盤を構築することを支援します。
既に栄養士制度が存在する国には、研修、留学等による人材のスキルアップを支援して、世界の栄養不良の撲滅に貢献します。
栄養の力で、人々を健康に幸せにしましょう。
ありがとうございました。
国々(世界)に広げるという意味合いから、翼にも川にも見えるデザインです。コミットメントの「人材」、「仕組み」、「教育」の3つをイメージできるよう3色にわけています。この3色は、三色食品群のカラーに合わせています。日本発信ということで、日の丸を背景にあしらっています。
日本栄養士会では、12月7日(火)、8日(水)の二日間、東京国際フォーラムでも東京栄養サミット2021公式サイドイベントを開催、オンラインにて配信しました。当日は、関係国のラオス人民民主共和国大使をはじめステークホルダーが来場、コミットメントに関するプレゼンテーションをおこないました。
全国各地に管理栄養士・栄養士が訪問する「ニュートリション・エデュケーション・カー」と災害支援車両(JDA-DAT号)の利用申請の受け付けを開始しました。栄養ケア活動を目的として、JDA-DAT号を用いた、栄養指導、防災イベント等における展示や講演、パッククッキングのデモンストレーション等の依頼を、全国各地から受け付けます。
「ジャパン・ニュートリション」とは、『明治以降、栄養学を導入し、栄養密度の高い食品や料理を取り入れることにより、栄養不良を解決し、健康長寿の近代国家を形成した。いわば、「文化と科学」を融合させた、日本独特の栄養改善を成功させた。』(『中村丁次が紐解くジャパン・ニュートリション』より、第一出版発行)ことの総称である。大きくは、GDPの増加、平均寿命の延伸に先立ち展開した、「食事」、「人材」、「エビデンス」を組み合わせた誰一人取り残さない日本の栄養政策について、厚生労働省の公表資料をもとに、その100年の歴史を振り返る。
※実質GDP 出典:World Bank(1960-2017) 「GDP (constant 2010 US$), Japan (1960-2017) 」
※平均寿命 出典:OECD「Life expectancy at birth(Total), Japan(1960-2017)」
※図表・文章は、「誰一人取り残さない日本の栄養政策~持続可能な社会の実現のために~」
(厚生労働省 健康局 健康課 栄養指導室発行)を引用、アレンジしたものです。
日本は古くから冷害等の気候変動や有事による食料不足から深刻な栄養欠乏に幾度となく直面してきた。第2次世界大戦後は、国際機関等の支援の下、1945年に始まった栄養調査の結果に基づく施策を全国の栄養専門職等によって行い、早期に栄養欠乏の解消を実現した。
経済成長期に突入した日本では、肥満や生活習慣病の増加といった過剰栄養の問題が顕在化し始めた。そこで、健康診査・保健指導の拡充や人材育成・施設整備を中心とした「国民の健康づくり対策」により、地域主体の栄養改善施策を推進し、生活習慣病対策に取り組んだ。
少子高齢社会の更なる進展が見込まれる中、活力ある社会の実現に向けて、2000年の栄養士法改正のほか、栄養に関連する様々な制度の充実化を図ることで、医療・介護・福祉・学校・行政等の各領域において、高度かつきめ細かな栄養政策を推進している。
病院やクリニックで、医師や看護師、薬剤師などと協力し、患者一人ひとりの病状に合わせた栄養管理などを行っています。
小・中学校で、子どもたちの成長に合わせた給食を提供します。食育の授業を担当したり、食物アレルギー等の相談も受けます。
トップアスリートからジュニアアスリート、スポーツを楽しむ人や子どもたちを対象に、競技力向上などを目的に栄養面からサポートしています。
働く人や学生の毎日の食事の一部を任され、献立作成や栄養情報の提供をして、日々の健康づくりを支えています。
都道府県庁や市役所、保健所などに勤務して、地域の住民の健康づくりのための政策を企画・実行するほか、住民の相談に応じています。
病気や介護の必要な方への栄養指導や調理指導、健康な方を対象としたアドバイス、料理教室の講師など、仕事は多岐にわたります。
福祉施設で、高齢者や障がいのある方それぞれに適した食事を考え、提供し、栄養管理や健康管理を行います。
保育園や児童養護施設で、子どもたちの成長に必要な離乳食、幼児食の献立を提供し、食事への興味を高めています。
管理栄養士・栄養士の養成を担います。また、大学や企業などで、研究を通じてエビデンスを構築します。
国や関連団体などと連携し、専門領域における高度な知識とスキルを持つ管理栄養士・栄養士を育成、輩出しています。2021年現在、特定保健指導、静脈経腸栄養、在宅訪問、スポーツ栄養、食物アレルギーの5つの特定分野と、がん、腎臓病、糖尿病、摂食嚥下リハビリテーション、在宅栄養の5つの専門分野の認定をすすめています。
栄養ケア・ステーションは、全国356か所、管理栄養士・栄養士4,973名が登録する、一般の方にも開いた地域の栄養に関する拠点です。日々の栄養相談、特定保健指導、調理教室の開催など、食・栄養に関するさまざまなサービスを提供しています。
2011年の東日本大震災を機に、日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)を設立、頻発する地震・豪雨などの被災地への支援活動を実施しています。このJDA-DATは全国各地での活動を網羅するために、2021年3月末現在、JDA-DATリーダー831名、JDA-DATスタッフ2,917名の育成・登録をおこなっています。