私には、日本栄養士会をアメリカ栄養士会(現:栄養と食のアカデミー)のような偉大な組織にしたいという夢があります。
若いころ、何度か「全米栄養士大会」に参加したことがあります。毎年変わる開催地には、3~4万人前後の会員が集まり、開催される1週間は、町の中心部には栄養士会の旗が棚引き、お祭りのような状態となります。初日には、アメリカ栄養士会から、国民に向かって今年度のスローガンが発表されるのです。期間中は、数多くの会議、講演、シンポジウム、ワークショップ等が開催され、どの会場でも熱心に討論が行われていたのを覚えています。アメリカの登録栄養士は、5年ごとに免許の更新が義務付けられ、一定の単位の修得が必要で、養成課程でも生涯教育の必要性が徹底的に教えられます。
私は、初めて、シカゴにあるアメリカ栄養士会を訪問した際、会員の心得を明記したパンフレットをもらって説明を受けました。最初に書かれていた言葉は今で鮮明に覚えています。それは、「我々が学ぶことをやめれば、国民は不幸になる」でした。栄養学は、毎年すさまじい勢いで進歩し、新たなエビデンスが蓄積されています。一方、社会や環境、さらに食生活は著しく変化し、その変化に追いついていかないと、私たちは正しい情報を人々に伝達することができなくなり、その結果、人々は栄養学の恩恵を受けることができなくなるからです。
アメリカ栄養士会のように全ての会員が、1年に1回、みんなで集い、学び、大いに語り合う場として「全国栄養士大会」を発展させるべきだと思っています。
今回も、栄養学の実践活動に必要な多くの講座が用意されています。いずれの講師も、それぞれの領域のトップクラスの人達であり、受講すれば必ず役に立ちます。新たなことを学ぶということは、以前のことが嘘になるか、役に立たないことになります。学び続けて、新たな知識と技術を習得して、自らの手で栄養の専門職としての価値を高める努力を惜しまないでください。