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【行政の現場】住民に寄り添いながら、健康で幸せな地域社会を実現したい

管理栄養士・栄養士の「就活」と「働く」がリアルにわかる!
訪問! 現場で活躍するセンパイ #04

赤岩友紀さん(下仁田町役場保健課保健推進係主任、管理栄養士)

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 地域に寄り添って、地域全体の健康に貢献したいと地元・下仁田町役場で行政管理栄養士として働く赤岩友紀さん。日々、地域の人たちと触れ合い、住民の健康増進に向けた取り組みを行っています。さまざまな人が暮らす地域ならではのリアルな日常、仕事のやりがいについて語っていただきました。

プロフィール:
群馬県出身。女子栄養大学卒業、女子栄養大学大学院修了。下仁田町役場保健課保健推進係で管理栄養士として勤務。勤続年数2年。

現在のお仕事に就くまでのことを教えてください

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管理栄養士になりたいと思ったきっかけ

 小学生の頃から料理やお菓子作りに興味がありました。図書室にある料理本を借りて実際に料理をしたり、レシピを書き写して自分専用のレシピノートを作ったりすることも。高校生になり、好きな料理や食を通じて人の健康を支える仕事に就きたいと考え、管理栄養士を目指すようになりました。
 大学在学中の講義や研究活動を通して、地域の栄養改善・健康増進の取り組みの重要性と奥深さを知り、行政での仕事を志すようになりました。

就職活動の際に苦労したこと、心がけていたこと

 就職は地元の群馬でと考えていたため、大学3年の4月頃から群馬県や市町村の求人情報をチェックしていました。しかし、就職活動は特にせず、専門性を高めたいと思い、大学院に進学し研究に力を入れていました。大学院の修了間際に、下仁田町で管理栄養士の採用があることを知り、即座に応募しました。行政での求人は限られるため、状況によっては広い範囲で検討したほうが良いと思います。
 行政の方面に就職したいと考えているなら、公務員対策の講座を受講したり、試験勉強をしたりと、早めに対策を取ったりすることが必要です。就職に関して管理栄養士・栄養士がどんなところで働いているかの情報を幅広く集めると、選択の幅が広がります。

 下仁田町では高齢化や人口減少が進んでおり、食料品店までの距離が遠く、買い物に困難がある人びと(いわゆる買い物弱者)や生活に必要なサービスを受けるのに困難がある人びとが多くいることが考えられます。町に暮らす一人ひとりの健康を管理栄養士の立場から守りたい、楽しくて幸せな生活を送る手助けをするために行政の管理栄養士になりたいとの熱意を採用試験で伝えられるように準備しました。

学生時代の経験や勉強したことで役に立ったこと

 実習で月齢に応じた離乳食を作る授業がありました。5、6カ月の場合はこれぐらいの軟らかさとか、7、8カ月なら一回に食べさせる分量はこれくらい等、リアルな体験ができたのはとても大きな収穫でした。というのも現在、乳幼児健診の栄養相談を受け持っており、見本の離乳食を作る際やアドバイスに生きています。
 また、乳幼児に限らず高齢者の方等、全ての住民が対象になるので、ライフステージ別の身体・栄養の知識がすぐに生かせました。さらに大学の実習で、対象者を設定して栄養教育の内容を立案したり、グループワークで市町村健康増進計画の策定、評価改善を行ったりしたことが今の仕事に直結しています。

 大学院では講義や学会等で調査結果や研究結果等をまとめて発表する機会が多くあり、的確な情報源から必要な情報を収集することを学びました。住民のために見やすい資料を作ったり、分かりやすい説明をしたりする等、情報発信の大切さを学んだことが、今役立っています。

今のお仕事について教えてください
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現在、担当している業務

 大きく分けて3つの業務を担当しています。1つ目は栄養教育で、住民に対して健康教室を行っています。食事についての話をする糖尿病予防教室や、乳幼児健診等があります。食事のことを教えてほしいとご相談がくることもあるので、その方のお話を聞き、アドバイスすることもあります。
 2つ目は食育推進です。下仁田町は食育推進計画を策定し2023年が10年目に当たります。コロナ禍以前は食育イベントを開催していたのですが、以前のように住民を集める形で開催するイベントができないので、保育園で野菜を食べる大切さを園児たちに話したり、下仁田町の郷土料理の作り方を映像化して小学生に見てもらったりする等の食育講話をしています。
 そして3つ目は地区組織活動協働・支援です。町の食育ボランティア団体である食生活改善推進協議会の事務局を担当し、ボランティアの人と一緒に地域の食育活動に取り組んでいます。

仕事で大変なことや工夫していること

 私の上司にあたる管理栄養士が住民と話をしている様子を見ると、明るくて元気で、住民の方が安心しているのをとても感じます。私も住民の方と接するとき、笑顔で声をワントーン上げて、明るくポジティブな気持ちになってもらえるよう心掛けています。反省ばかりの日々ですが、仕事はとても楽しいですね。

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やりがいを感じるとき

 料理教室を行っているのですが、コロナ禍なのでその場でみんなと一緒に食べるということができません。参加者は持ち帰って食べていただき、その感想を提出してもらうのですが、「みんなで作業ができて楽しかった」とか、「もっと料理教室の回数を増やしてください」等の言葉を見ると気持ちが明るくなります。食育講話で子どもたちから「また、来てね!」と声をかけてもらうと、うれしくなりますね。
 私は小学生のとき、料理教室に参加し、野菜の切り方をほめてもらったことがありました。それをきっかけに、食や健康により関心が高くなったので、当時の自分のように思ってもらえるよう日々努力しています。市町村の管理栄養士は地域の栄養改善を目的とするため、地域住民との関わりがとても大切だとつくづく感じます。
 実は今の上司は、私が幼いときに栄養相談の対応をしてくれた人。求人が限られる中、下仁田町で、私がこの仕事ができていることに強い「縁」を感じます。

今後の夢や取り組んでみたいこと

 住民への栄養相談の折等に、自分の知識不足や行動変容につなげる指導のスキル不足を感じています。まずは自分の知識を増やし、努力と経験を積みたいですね。そのためにも日本栄養士会等の研修参加や自己学習で自己研鑚に励み、地域の栄養改善、健康増進を担う行政の管理栄養士の役割を果たしたいと考えています。
 料理教室などの食育事業では、皆さんと一緒に食べて、おいしいという感想を共有するのが大切だと考えています。コロナ禍で難しいのですが、なんとか工夫しながら、取り組んでいければ良いですね。 
 そのためにも、これまで以上に地域に出向いて、住民と関わる機会を積極的につくりたいと思います。そうして自分の存在を知ってもらい、町の管理栄養士として食や健康について気軽に相談してもらえるような、地域に寄り添った存在になりたいです。

1日のタイムスケジュール

  1. 6:30

    起床

  2. 8:00

    家を出発

  3. 8:10

    出勤

  4. 8:20

    ラジオ体操

  5. 8:30

    事務仕事、料理教室開催時は準備

  6. 12:00

    休憩

  7. 13:00

    資料作成等の事務仕事

  8. 17:15

    退勤

  9. 17:30

    帰宅

  10. 19:00

    夕食、自由時間

  11. 23:00

    就寝

 午前中は県等への提出書類や資料の作成等のデスクワークが多くあります。午前中に料理教室を開催する日は朝から調理室で準備をして、デスクワークは午後です。
 イベントがあるときは残業もありますが、それほど多くはありません。ただ、管理栄養士としての業務だけでなく、住民健診対応やワクチンの集団接種の業務等もあり、土日の休日出勤もたまにありますが、振替休日を取っています。

OFFの時間や休日の過ごし方

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 散歩をするのが好きで、1人でよく出かけては、何をするでもなく歩いています。また、管理栄養士として働く大学時代の友人とオンラインで話をしたり食事に出かけたりしていますね。フィールドは違いますが、お互いの仕事のことを話し、近況を聞くことが仕事のモチベーションになっています。植物を眺めたり、よい香りに包まれたりすると、とても癒されてリフレッシュできますね。
※写真は散歩でめぐる下仁田町の風景、自宅の観葉植物とルームフレグランス

学生へのメッセージ

 料理教室や栄養相談の際に、もっと料理の引き出しがあればと痛感することもあります。学生のときから自分で調理することはもちろん、いろいろな料理を食べて経験を積むことも大切だと感じています。私は大学院に進んだのですが、住民の健康について等、「評価をする」という学部では経験できない研究や経験ができました。柔軟な頭で2年間あらゆることを吸収できました。進路に迷っている方は、進学も検討されてみてはいかがでしょうか。
 行政での仕事は日々、住民と触れ合うことでパワーをもらえる、やりがいのある仕事です。住民が健康であるからこそ、人と人とのつながりが生まれるのだと実感できる意義ある仕事だと感じます。是非、行政で働く管理栄養士・栄養士を目指してもらいたいですね。
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