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【養成校の現場】大学教員だから実感できる、学生に教える喜びと研究の楽しさ

管理栄養士・栄養士の「就活」と「働く」がリアルにわかる!
訪問! 現場で活躍するセンパイ #05

山口大貴さん(広島文教大学人間科学部人間栄養学科助教、管理栄養士)

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 子どものときに料理の楽しさと食の意義を知り、より深く追求したいと大学での研究と教育の道に進んだ山口大貴さん。研究者としての難しさと教育者としての喜び、そして次に目指す目標と夢についても語ってもらいました。

プロフィール:
兵庫県出身。川崎医療福祉大学卒業、川崎医療福祉大学大学院修了。広島文教大学人間科学部人間栄養学科助教として勤務。勤続年数2年。

現在のお仕事に就くまでのことを教えてください

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管理栄養士になりたいと思ったきっかけ

 小学校のときに母がケーキを作ってくれて、こんなにおいしいものが自宅で作ることができるのかと驚き、見よう見まねで料理をするようになりました。高校で進路を決める際、食と栄養についての分野で仕事したいと考えたのです。
 というのは、受験勉強の合間の料理やお菓子作りが気晴らしになっていたこともあり、興味のある分野なら長続きするのではと考えたからです。大学では基礎栄養学や生化学等、基礎系の教科に興味を持ち、さらに研究で深く学びたいと思い大学院に進学しました。

就職活動の際に苦労したこと、心がけていたこと

 博士後期課程の3年生のときに今後も研究を続けられる職場と教員を志し、本格的に就職活動を始めたのですが、その時期は博士論文のまとめや予備審査等の時期と重なるので積極的な就職活動ができませんでした。学生の皆さんには早めに論文に取り組むことをおすすめします。
 就職活動には研究人材のためのキャリア支援ポータルサイトであるJREC-INを利用しました。人づてに大学の求人情報について紹介いただくこともあります。また、学会発表の後に懇親会がありますが、そのような場でのコミュニケーションを通じて、仕事のご縁をいただける機会もあると思います。大学教員の道に進みたいと考えているなら、日頃から声を大にして、自分の意思を表明したほうがいいでしょうね。

学生時代の経験や勉強したことで役に立ったこと

 大学院では年に2〜3回ほど学会で発表する機会がありました。発表に向けたスライド作成やプレゼンテーション経験は今の仕事に役立っています。また、研究でラットの解剖等、実際に見て触れたことで、講義でリアルに伝えることができます。さらに、ティーチングアシスタントという実習学習の補助や指導等を経験したことで、講義の流れや方法も学ぶことができ、それを自分の講義に生かしています。
 自分が管理栄養士の国家試験を受験した経験から、いつ何をすれば良いかの具体的な試験対策の指導もしています。例えば、春は昨年の問題を解き、周辺の知識をしっかりノートにまとめる。夏は基礎栄養学や解剖生理学等についてしっかり記述できるようになる。そして試験直前は色素成分の名前や食中毒菌の特徴を覚える、といったことを伝えています。

今のお仕事について教えてください
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現在、担当している業務

 学生の教育と研究、そして地域貢献もありますが、教育が中心です。担当している分野は食品学や食品加工学です。食品の中にどのような成分が含まれ、その成分がどう体に作用するかを教えています。臨地実習の課題指導をすることもあります。各学年にはチューターと呼ばれる学年担任がいて、3年生のチューターを先輩の管理栄養士教員と受け持っています。水曜日に学生の自律的な学修をサポートするための「育心の時間」というプログラムがあり、その企画立案や指導も行っています。本学は教育に特に力を入れていると評価をいただきますが、「育心の時間」はその代表的なものでしょうね。
 地域貢献に関しては、一般社団法人と提携して合鴨農法で栽培された米粉を原料にした無添加パンを研究しています。米粉パンはグルテンが含まれていないので焼き上がったときにあまり膨らまないため、小麦から抽出したグルテンや増粘剤等、食品添加物を使っているものもあります。しかし、グルテンや食品添加物を使うと、食物アレルギーを発症する人もいるので、米粉だけでふっくらと仕上げる研究を進めています。
 また、広島県栄養改善学会で「機能性糖質甘味料がプリンの性状に及ぼす影響」というテーマで発表し、学会の発表内容が充実して良かったと好評いただきました。

仕事で大変なことや工夫していること

 一般教養科目で受け持っている授業で学生が約130名いるのですが、専門科目のように必ずしも皆熱心に講義を聞いてくれる訳ではありません。学生が興味を持つようにスライドはイラストを活用し、講義を面白く伝わりやすくするように心掛けています。

 教員としては、講義そのものだけでなく、講義準備もありますし、大学運営に関係する委員会の参加等の業務もあります。そのため、自身の研究時間の捻出には少々苦労していますが、毎週設定されている研修日を使うなどして取り組んでいます。

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やりがいを感じるとき

 講義や実習を通じて、学生が興味や関心を持って学んでいる姿を見るとやりがいを感じますね。食品加工実習のときにソーセージの調理で、学生がこねた肉だねをケーシング材の羊腸に詰めて、捻って節を作り成形していく工程の実体験を行いました。そのとき、「こうしてソーセージって作られているんだ」と興味を持って取り組んでいる姿を見て、教える喜びを感じました。
 学生に寄り添いながら、学生の気づきや発見、成長を一緒に喜び合える人が、この職業に向いていると思います。

今後の夢や取り組んでみたいこと

 大学がある広島県は食品に関連する企業が多くあります。そのような企業と提携して広島県内の特産物を使った商品開発ができたらと考えています。
 また教育の面では食品の栄養について学ぶだけでなく、どのように作られ、どうやって私たちのところに来るのかを学ぶことも大事だと思います。昨今は食品廃棄を減らすことが求められています。食品のルーツを知ることで食品の価値や尊さ、そしていろんな人の努力から成り立っていることを知ることができ、自然と食品廃棄が減ると思います。そういうことも併せて教えていきたいですね。
 管理栄養士・栄養士の業務においても、科学技術の進歩に伴い業務の機械化、AI化が進んでいます。写真中の食事の栄養価計算を自動で行うアプリやAIによる食材や献立の提案、栄養診断などの技術が開発され、実用され始めています。よって、「栄養と科学技術」については一生学び続け、新たな情報が発信される度に、更新しなければならないと思います。

1日のタイムスケジュール

  1. 7:30

    起床

  2. 8:10

    家を出発

  3. 8:30

    出勤

  4. 9:10

    講義×2回

  5. 12:20

    休憩

  6. 13:10

    実験・研究、実習の準備等

  7. 19:20

    退勤

  8. 20:00

    帰宅

  9. 20:30

    夕食

  10. 21:00

    研究についての情報収集

  11. 02:00

    就寝

 朝8時半までには大学に着き、午前か午後いずれかにだいたい講義があります。帰宅しても、学生の卒業研究のための調査や、研究の最新情報を調べたり、資料を読んだりと研究の続きを家ですることが多いですね。気がつくと深夜になっていることもあります。でも楽しいので苦になりません。
 基本的に週休二日制ですが、オープンキャンパスや卒業研究の発表会等で土曜に仕事をすることもあります。振替休日も取っています。

OFFの時間や休日の過ごし方

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 リラックスのために運動する日を平日の週に2〜3回くらい必ず入れるようにしています。仕事が終った後、大学の体育館で1回45分ほどの筋トレをしています。筋トレの後は、どんな栄養素を意識的に摂るようにした方が良いかを考えて食事をしていますね。地元の食材を知るためにも食べ歩きもしています。OFFの時間も意図せず仕事に関連したことばかりですね。
※写真は大学体育館での筋トレ、食べ歩きの様子

学生へのメッセージ

 大学は専門的な学問を学びたい学生が入学しているので、教える喜びはとても大きいですね。とてもやりがいがあり、意義ある仕事だと感じています。大学教員の求人数は少なく、採用条件には修士や博士の修了が求められる場合が多くあります。教員を目指すのであれば、早めの学位取得をおすすめします。大学院では研究を続けられたことも良かったのですが、複数の業務を効率良くこなすスキルが身に付きました。
 時間のある学生のうちに旅行することもおすすめです。自分の心の見聞を広める意味もありますが、旅行を通して自分の地元の料理だけでなく、食の見聞が広がる効果があると思います。 自分の住んでいる地域と文化、そして食の違いを知ることができ、それが管理栄養士としての幅を広げることにもつながります。
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