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年間延べ4,000人が訪れる注目の栄養ケア・ステーション、
その人気と成功の秘訣とは?

栄養ケア・ステーションの現在 #001

まちかど健康相談室(埼玉県和光市)

img_03_01.jpg埼玉県和光市の団地の真ん中に、お年寄りたちの笑い声が響くスポットがあります。認定栄養ケア・ステーション「まちかど健康相談室」です。ここは、平日の10:00から15:00まで、管理栄養士や看護師が常駐し、健康や栄養について相談できるサロン。毎月延べ300~400人もの地域住民が訪れ、健康・栄養相談のほか、地域の専門家や市民講師によるミニ講座やクッキングなどのイベントも開催され、参加者は高齢者を中心に、子どもから障害者まで幅広い方が訪れます。「まちかど健康相談室」を運営するNPO法人ぽけっとステーション代表の山口はるみさんに、人気と成功の秘訣をうかがいました。

訪問栄養指導をきっかけに、来訪者が増加

もともと民間のケアマネジャーとして活動していた山口さん。2006年に、和光市の訪問栄養指導事業を受託するためNPO法人を設立、地域で活動している管理栄養士の野島さんと共に、NPO法人ぽけっとステーションを設立しました。当初の訪問栄養指導は月に3件程度だったため、山口さんはケアマネージャー職との掛け持ちだったという。徐々に、二人の思いに賛同したスタッフが集まり、今では総勢33人ものスタッフで運営するほどに。

訪問栄養指導を担当している野島さんは、「『食事や栄養の話は聞きたくない』と思っていらっしゃる方は多いです。訪問してまずは、栄養の話ではなく、趣味やちょっとした世間話などをきっかけにコミュニケーションを図った上で、話をよく聴いて、何が問題で、どうして困っているのかを一緒に考えることからはじめます」。野島さんの明るい人柄とめげない努力の甲斐もあって、訪問栄養指導は、今では月25~30件に増えています。訪問栄養や介護予防栄養教室(総合事業・通所型サービスC)を行い、平成26(2014)年に「まちかど健康相談室」を委託事業として開所しました。

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「栄養」だけにとどまらない、自立支援のカタチ

来訪者の相談内容は実にさまざま。「病院で血液データをもらったけど、どう見たらいいの?」、「手術後のガーゼを取り替えたいけど、どうすればいい?」など、病院では聞きづらいと思っている方が、ここに立ち寄り、看護師の指導を受けるといいます。過去には、血圧の測り方がわからないという方が来て、いざ計ってみたら数値が180と高く、看護師よりすぐに病院に行くように促され、ことなきを得たというケースも。また、引きこもりがちな一人暮らしの高齢者にとって、近所にあって心の拠り所となる「まちかど健康相談室」の存在の大きさは計り知れません。

2年間自宅に閉じこもっていた高齢者が、今では毎日通い、大声で笑って帰る常連です。ある日のお弁当会では、「もっと野菜食べた方がいいんじゃない?」と栄養について学んだことを互いに教えあったり、「そんな愚痴ばっかりじゃだめよ」とたしなめ合ったり。何かと誰かのお世話をしたくなる、そんな気持ちのゆとりや成長が見られるのも、ここの魅力の1つ。

「閉じこもっているのを放っておいたら、足腰も悪くなって要介護になってしまうでしょう。それを食い止めたいんです。毎日ここに来たくなる、活動したくなる。そうするには食べること(栄養)が大事なんだよって。それが自然と自立支援につながっていくんです」と山口さん。現に、和光市の要介護の認定率は年々下がっており、成果の一因となっています。こうして地域の課題を解決し、元気な地域住民を増やしていくことこそが、栄養ケア・ステーションの目指すべき姿なのでしょう。

img_03_03.jpg本当に支援が必要な方にも来ていただける

地域に根付いた栄養ケア・ステーション

「まちかど健康相談室」が成功している秘訣の1つに、和光市の助成はもちろん、UR都市機構や自治会長など、地域との連携の強さが挙げられます。

「ここに訪れた方のご様子がおかしいと感じたら、市や包括、民生委員さん、その他担当する所に連絡をとります。災害時にも困らないように、日ごろから近所付き合いができるよう支援しています。特に男性は、集まりの中に入ることが苦手ですので、訪問栄養指導で調理指導などを行った男性独居の方には、まちかどに寄るようにお声がけします。約4割は男性がいらっしゃいます。訪問のきっかけから、うつ症状のある方や家に閉じこもっている方も、来てくださることが多いです」

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「まちかど健康相談室」のこれから

最後に、「まちかど健康相談室」の今後の目標について山口さんにうかがいました。

「団地の高齢者以外にももっと広めていきたいと思っています。赤ちゃん連れのお母さんを対象とした育児相談なども行い、赤ちゃん連れも、子どもも、障害者も高齢者も元気な人も、世代に関係なく、入り乱れてワイワイできる場を作っていきます。地域の医療や福祉との連携を深めて、管理栄養士・栄養士が当たり前に地域に存在している環境を作りたいです。ここに来た人が来た時よりもいい気分になって帰ってくれる、みんなのまた来たい場所、そんな「まちかど健康相談室」であり続けたいと思います」

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取材協力:

特定非営利活動法人 ぽけっとステーション

住所:埼玉県和光市西大和団地1-7-2

Tel:048-485-9253

営業時間:10:00~15:00

定休日:土日・祝日

Facebook:まちかど健康相談室


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