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「東日本大震災」をきっかけに発足から11年、進化するJDA-DAT、"災害支援の現在"を一緒に考える

自然災害・感染症等における栄養ケアの充実のために

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 東日本大震災から11年の月日が経ちました。当時、日本栄養士会では、自然災害による甚大な被害を受けた被災地の住民や仲間に対して、管理栄養士・栄養士として、人として、「できることがないか」と手探りで現地に管理栄養士・栄養士の派遣を行いました。「日本栄養士会」として初めてとなる災害支援活動でした。避難所の巡回、医療チームとの帯同、在宅訪問、保健医療班とのミーティングへの参加、福祉避難所における給食提供、保健所や保健センターでの補助、物資集積場所の整理、食事調査、食事に配慮が必要な方に対する代替食品の手配、等々。全国から集まった会員にとって、多くが初めてとなる経験を、つなぎながら、迷いながら、活動しました。
 そこから生まれた「日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)」。JDA-DATの育成も10年となりました。
 東日本大震災後、関東東北豪雨災害、熊本地震、大阪北部地震、西日本豪雨災害、北海道胆振東部地震、令和元年度の台風の災害等で支援活動を行ってきました。そうした経験も踏まえながら、毎年、全国でJDA-DATの育成はすすめられ、現在全国に約4,000名のメンバーが、大規模な自然災害に備えています。

万が一に"動ける"ために、アクションカードを提供

 JDA-DATの育成とともに開発に取り組んできたのが「アクションカード」です。災害が発生した直後から、栄養士会として具体的にどのような「動き」をしたら良いかを示すものです。2019年には、その第1版となる「アクションカード」を、災害発生後、被災した都道府県栄養士会における初動マニュアルとして全国の栄養士会と共有しました。
 その後も開発をすすめ、現在、これまでに経験してきた支援活動を軸に整理をすすめています。「アクションカード」は、どのような立場であっても、どのようなタイミングであっても、緊急時に効率的に動くことができるように標準的な「目安」としてまとめています。
 JDA-DATの各研修においても、アクションカードの演習を含めて実際に体験しながら、実際の状況を具体的にイメージし、いざという時に備えています。

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■アクションカード(2021年10月版)について詳しく見る

新興・再興感染症対応への準備、新しい研修プログラムを導入

 大規模な自然災害が発生した際に備え育成をすすめている、JDA-DAT。近年では豪雨災害による被害、二次被害も増える等、毎年のように全国のどこかで「有事」が発生している、とも言えます。そして2020年、我々は「COVID-19」という新興感染症により「新しい生活様式」に入りました。
 自然災害がもたらす被災地での栄養・食の問題解決に少しでも取り組めるよう活動しているJDA-DATは、新興・再興感染症が発生した際にも同様に、各地域で抱える問題に対して、専門職として「できること」があると考えます。

保健所支援「積極的疫学調査」って、なに?

 感染者数の増加にともない陽性者数が増加するなかで、保健所の業務逼迫は間近で感じられている方も多いと思います。また、IHEAT(Infectious disease Health Emergency Assistance Team の略。保健所等で積極的疫学調査を中心とした業務を支援するため、関係学会・団体等を通じて募集した外部の専門職であって、支援協力者の名簿に登録された者)を通じて応援要請があった方もいるかと思います。各都道府県栄養士会においては平時から、そして自然災害時においては支援活動にあたって、JDA-DATは自治体との連携は必至です。
 そこで、最低限の基礎知識を身につけ、地元や近隣地域からの応援要請へ対応できるスキルをマスターすることを目的に、新しい研修プログラムを導入しています。

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【研修プログラム(2022年2月5日実施)】
講師:日本赤十字看護大学 准教授 吉川 悦子
・新型コロナウイルス感染症対策における積極的疫学調査とは
・積極的疫学調査の導入「ロールプレイ」

 積極的疫学調査に必要なのは、何といっても「コミュニケーションスキル」! 電話による健康観察は、対面による栄養相談と異なり、とても難しく、スキルが試されます。また、次の応援者へつなぐために、適切に記録を残す、必要事項を共有する、といった対応は、管理栄養士・栄養士の業務に通じます。

平時から発信! 家庭内備蓄のすすめ

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 新型コロナウイルス感染症においては、自宅療養が必要となった対象者へ自治体から「自宅療養セット」として食品や衛生用品等のセットが準備されています。自治体によりその内容は異なりますが、個々への細やかな配慮には限界があります。食物アレルギーへの対応、高齢者へのやわらか食、塩分や糖質が抑えられた食品、小児や乳幼児への対応、宗教上の配慮等々は、普段からご家庭における備蓄をすすめることで、カバーできます。自然災害同様に「自助」の意識を普段から伝えていく必要があります。
 以下のURLでは、全国の自治体の協力により情報提供いただいた一部をご紹介します。

■療養者向けの「食品セット」一例を見る

マッチングアプリ、DiMS(Dietitian Matching System)を開発

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 自然災害が発生した際の人的支援の調整にあたっては、これまでは全国の栄養士会内で、それぞれの管理下のもとに、会員へ出動要請を行い、支援活動日の調整を行っていました。このたび、厚生労働省補助金事業「令和3年度栄養ケア活動支援整備事業」の一環として、自然災害や新興・再興感染症等が発生した有事において、地域で栄養ケアを行う管理栄養士・栄養士を継続的に供給するシステムとして、DiMS(Dietitian Matching System)(ディムス)を開発しました。
 支援(応援)者と派遣元(事務局)が即時に情報を共有し、派遣先への適切な人的支援につなげるとともに、活動実績等にかかる統計データの把握ができる体制が整備されます。
 DiMSへの登録は、JDA-DATスタッフで感染症等への基本的知識を習得した者を対象としています。ぜひ、あなたもスキルをアップデートしてDiMSのメンバーに!

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