2024年度全国栄養改善大会が開催される!
2024/12/12
2024年10月13日(日)、「2024年度全国栄養改善大会」が一般社団法人全国栄養士養成施設協会、公益社団法人日本栄養士会の主催、厚生労働省、東京都の後援により、東京都・都市センターホテルで開催されました。
本大会は、全国各地で栄養改善を推進している管理栄養士・栄養士に焦点を当て、その取り組みですぐれた成果をあげた人や施設を称え、栄養改善に対するいっそうの意欲を感じてもらい、後進の励みと活動目標になることを目的として開催するものです。全国から管理栄養士・栄養士が一堂に会し、日本栄養士会 鈴木志保子副会長による宣言により開会しました。
主催者の挨拶として、全国栄養士養成施設協会 滝川嘉彦会長からは、管理栄養士・栄養士の役割とやりがいを次代に伝えていくこと、AI時代の進展する中、人に寄り添った業務のあり方の大切さについてお話がありました。
日本栄養士会中村丁次会長からは、栄養士制度の創設に向けたアジア各国への支援と、日本の栄養改善のさらなる活躍について、以下のように語られました。
「日本政府の主催により開催された『東京栄養サミット2021』では、東京栄養宣言(グルーバルな成長のための栄養に関する東京コンパクト)が発出され、これを受け、公益社団法人日本栄養士会はこれまでの日本の栄養改善の経験を生かして、アジア各国を中心に管理栄養士・栄養士の養成と制度づくりを支援することをコミットメントしました。しかし、アジアの国々の現状はきびしいものであり、例えばベトナムでは、富裕層と貧困層の経済格差を背景に飢餓と肥満という栄養不良の二重負荷状態が進んでおり、栄養改善が急務であるが栄養士制度がありません。日本栄養士会がベトナムを訪問した際、栄養士制度の創設の必要性を説いても政策は経済活動が優先され、栄養改善は二の次となっていました。
日本は約150年前に栄養学が登場し、80年にわたって栄養士養成に取り組んできており、栄養学の実践を行う管理栄養士・栄養士は専門職として社会に組み込まれてきました。現在、日本が長寿国として世界のモデルとなっているのは、管理栄養士・栄養士の皆さんの日々の献身的な取り組みの賜物だといえます。さらに、これまでの皆さんの努力と活躍により、社会や活動現場での管理栄養士・栄養士の認知度は、栄養士制度発足当時とは比較にならないほど上がっています。永年にわたる皆さんの取り組みに深く感謝を申し上げますとともに、さらなる活躍を目指していただきますようお願いいたします」
来賓の福岡資麿厚生労働大臣、小池百合子東京都知事からの祝辞
続いて来賓の福岡資麿厚生労働大臣、小池百合子東京都知事の祝辞へと移り、公務につき、福岡厚生労働大臣は厚生労働省健康・生活衛生局健康課 栄養指導室 塩澤信良室長の代読、小池都知事はビデオメッセージにより、受賞者へのお祝いと日頃の栄養改善活動に対する感謝を述べられました。
全国各地の栄養改善活動の功績を表彰
表彰式では、厚生労働大臣表彰は「栄養改善事業功労者」8名、「栄養士養成功労者」15名、「栄養指導業務功労者」42名、「特定給食施設」16施設が表彰され、福岡厚生労働大臣に代わり、厚生労働省健康・生活衛生局健康課 栄養指導室 塩澤信良室長から各賞の代表者に表彰状が授与されました。
日本栄養士会表彰は、「栄養改善功労賞(荻原賞) 」、「栄養改善奨励賞(森川賞) 」をそれぞれ1名が受賞しました。
管理栄養士・栄養士として50年以上活動し、後輩の育成指導に功績のあった74名が「50年業務貢献者」として、また管理栄養士・栄養士として25年以上活躍し、業務に功績があった739名が「25年等業務貢献者」として日本栄養士会 中村丁次会長から表彰を受けました。
「栄養橋寿会員」は「栄養(えいよう)の日」=「8(エイト)、4(ヨン)」のごろ合わせにちなんで84歳まで会員を続けてこられた方に、長年、日本栄養士会を支えてくださった感謝とこれからのご健康を祈って贈られる賞で、今年は39名が受賞しました。代表者が日本栄養士会 中村丁次会長から表彰を受け、会場から暖かい拍手が起こりました。
栄養士会活動の充実に努め、会員増に功績のあった4つの府県栄養士会に「都道府県栄養士会感謝状」が贈られました。最後に、今大会の全受賞者を代表して公益社団法人山形県栄養士会の村山ひとみさんが謝辞を述べ、厳かに授賞式は終了しました。
河村育英資金受給者の研究発表と、中村会長による特別講演
授賞式後は、日本栄養士会 塚原丘美副会長を座長とした2022年度河村育英資金受給者による研究発表が行われました。河村育英資金は、日本栄養士会が栄養改善事業の普及、進展を奨励するとともに、後進の管理栄養士を育成することを目的として2012年に設立し、2013年より奨学金を給付しています。発表者とテーマは以下の通りです。
【研究発表】
・林 衛(日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院 栄養課)
「救命救急ICUにおける早期栄養介入管理の効果」
・川瀨文哉(JA愛知厚生連 足助病院 栄養管理室)
「高齢入院患者における安静時エネルギー消費量の推定式の作成」
・森 新(京都大学農学研究科 食品生物科学専攻栄養化学分野 博士後期課程2年)
「栄養素代謝臓器としての熱産生脂肪細胞の食行動制御における役割の解明」
大会の最後は、日本栄養士会 中村丁次会長による特別講演が行われました。「ジャパン・ニュートリションの成果を世界へ発信、提案」と題し、日本栄養士会がアジア各国に向けて活動している栄養士制度の創生に関する支援内容、2025年に開催される「パリ栄養サミット」への抱負等、日本の管理栄養士・栄養士に期待される国際貢献について語られ、列席者が熱心に耳を傾ける様子がうかがえました。
講演終了後、日本栄養士会塚原丘美副会長の閉会の挨拶により2024年年度全国栄養改善大会は閉会しました。閉会後は、都道府県の垣根を超えた活発な交流も見受けられ、昨年に続く対面開催ならではの和やかな雰囲気に包まれました。