【開催報告】第37回「健康づくり提唱のつどい」
ラグビー日本代表選手を含む3名のトップアスリートも出演
「スポーツ栄養から考える、現代のアスリートのための食」をテーマに開催!
2016/04/13
522人が参加、盛り上がりを見せる「スポーツ栄養」
平成28(2016)年4月7日、第37回「健康づくり提唱のつどい」が、東京都港区のヤクルトホールで開催されました。同会は、WHO(世界保健機構)の提唱する「世界保健デー」の4月7日に、公益社団法人である日本栄養士会が、社会活動の一環として昭和55(1980)年より開催しています。今回は、国際的な競技大会などでも話題の「スポーツ」に注目、「スポーツ栄養から考える、現代アスリートのための食―より強く、より楽しく競技をするための食のルーティーン―」をテーマに、満員の522名が参加、大盛況となりました。
シンポジウムの各講演に先立ち、座長の日本栄養士会鈴木志保子理事(神奈川県立保健福祉大学教授)から、「アスリートにとっての基本の食事は一般の人と変わらない」というスポーツ栄養についての前提の説明があり、そのうえで「アスリートは運動量の増加にともない、エネルギーや各栄養素、水分の必要量が増すものの、①食べられる量には限界があること、②運動中は交感神経が優位になるため消化・吸収が抑制されること、③運動時間が長くなると、消化・吸収を効率よく行う時間が短くなることの3つのギャップが生じるため、公認スポーツ栄養士によるスポーツ栄養学を活用した栄養管理がなくてはならない」と解説されました。公認スポーツ栄養士とは、公益財団法人 日本体育協会と日本栄養士会の共同認定資格で、アスリートやスポーツ愛好者のコンディション管理のために、食事を中心とした栄養サポートを担います。全国で173人が、公認スポーツ栄養士として活躍しています(平成28年4月7日現在)。
アスリートが常に良いコンディションでいるために
シンポジスト1人めは、第51回日本ラグビーフットボール選手権大会で優勝を飾った強豪チーム「パナソニックワイルドナイツ」で栄養サポートをしている橋本玲子さん。「栄養サポートとは、最終的には選手自身がコンディション管理できるように、食と栄養面から総合的にサポートすること」と述べ、ワイルドナイツでは新加入の選手や体脂肪率が高いなどの課題を抱える指定選手に限定して栄養サポートを担当していると説明しました。各選手とは話し合いをしながら、短期・中期・長期の目標を設定し、「チームのトレーニング計画に合わせて食事がとれるようになった」と報告する選手もいるそうです。
その後、ワイルドナイツのホラニ 龍コリニアシ選手、設樂哲也選手、林泰基選手がゲストアスリートとして登壇、設樂選手は、「社会人選手になり栄養サポートを受けてから体重とともに体脂肪が6%も減少し、自然とパフォーマンスが上がるようになった」と話し、林選手は「食べるタイミング、量、質をコントロールできるようになれば常に良いコンディションでいられる。続けることが大切」と栄養管理の実感を述べました。また、ホラニ選手は「日本の子どもたちは食事をしっかり食べていない。栄養というカテゴリーにこだわりすぎず、しっかり食べて大きく育ってほしい」と次世代のアスリートを激励しました。
糖質・たんぱく質の摂取とパフォーマンスの向上
シンポジスト2人めとして登壇したのは、高崎健康福祉大学の木村典代教授。「糖質の摂取とパフォーマンスの向上」をテーマに、アスリートにとって重要なエネルギー源となる糖質について解説しました。運動強度が高く、高糖質食を必要とする選手に対しては、不足しやすいビタミンB群の摂取に気を付けることや、筋グリコーゲン(運動のためのエネルギー源)の回復のための栄養補給法として、糖質に加えてたんぱく質と脂質をバランスよく含む牛乳を合わせる研究結果を紹介しました。
最後に、日本大学の松本恵准教授が「たんぱく質の摂取とパフォーマンスの向上」について講演しました。松本准教授は冒頭で、プロテインのサプリメントの摂りすぎによって腎炎に悩む選手の例を示し、「たんぱく質の必要量は運動量によって増加するものの、その効果には限度があること」や、効率よく筋量をアップさせるには「運動後にたんぱく質に加えて糖質の摂取のタイミングを図ること」を解説しました。そして、「肉、魚、卵、乳製品のほかにも大豆製品やそば、とうもろこし、ブロッコリー、白米などの食品にもたんぱく質は含まれており、食事に加えてサプリメントによるプロテイン補給は腎臓に負荷がかかる可能性もある」と説明しました。
総合討論の時間では、参加者から、ジュニア選手へのかかわり方や、サプリメントの扱い方、体重と体脂肪のコントロールなどについて多くの質問が集まり、スポーツ栄養への関心の高さがうかがえました。
スポーツをする子どもたちを「スポーツ栄養」で応援しよう!
日本栄養士会では2016年夏から、「未来のトップアスリートのための体感型スポーツ栄養セミナー」を北海道、岩手県、東京都、新潟県、福井県、長野県、静岡県、滋賀県、大阪府、愛媛県、福岡県で開催します。スポーツ栄養の第一人者を講師に迎え、ジュニアアスリートのための栄養学を実践的に、より効果的に学ぶ機会となります。お子さんを食事面からサポートしたい保護者の皆さま、好記録を出させてあげたい指導者の皆さま、ふるってご参加ください! 詳細は後日、日本栄養士会ホームページでお知らせします。また、日時、会場を含む詳細が決定しだい、希望される方へお知らせメールをお送りいたします。以下の登録フォームから、参加希望エリアを明記のうえご登録ください。
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