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【お知らせ】社会保障制度(診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬)の改定に係る要望書を提出

 公益社団法人日本栄養士会(代表理事会長:中村丁次)は、2023年8月9日(水)に、厚生労働省 伊原和人 保険局長、間隆一郎 老健局長、辺見聡 障害保健福祉部長へ、社会保障制度(診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬)の改定に係る要望書を提出しました。

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左から、原純也常任理事(医療職域担当)、伊原和人保険局長、中村丁次会長

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左から、元家 玲子理事(福祉職域担当)、間隆一郎老健局長、中村丁次会長

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左から、加藤すみ子常任理事(栄養ケア・ステーション事業部長)、服部剛障害保健福祉部障害福祉課課長補佐、中村丁次会長

 2023(令和5)年6月16日に「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」(骨太方針2023)が閣議決定され、第4章 中長期の経済財政運営の2.持続可能な社会保障制度の構築では、健康寿命を延伸し、高齢者の労働参加を拡大するためにも、健康づくり・予防・重症化予防を強化し、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進を図ることが示されています。
 このような、国における基本方針を踏まえ、今日の医療・介護・障害福祉情勢を鑑み、令和6年度社会保障制度(診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬)の改定において、次の重点事項を柱に要望いたします。

■重点要望事項
1 医療施設における栄養管理の更なる推進と管理栄養士業務の適正な評価
2 包摂的社会の実現に向け、医療・介護・障害施設と地域(在宅)をつなぐシームレスな栄養管理、栄養食事指導体制の構築に向けた評価の充実
3 安全に安心して暮らすことができる栄養管理体制の構築及び充実を図るための管理栄養士の活用に対する評価
4 制度の安定性・持続可能性を向上するために、食事療養費に対する適切な対応

■重点要望事項について詳しく見る

■内容
1 医療施設における栄養管理の更なる推進と管理栄養士業務の適正な評価

【診療報酬】
(1)急性期一般入院料への「入院栄養管理体制加算」の拡大 
 管理栄養士の病棟への充実度が高まることは、患者の状態に応じたきめ細やかな栄養管理を通して、患者満足度や医療の質向上に寄与します。現行では特定機能病院のみを対象に「入院栄養管理体制加算」として1病棟に1名の専従管理栄養士の配置が評価されています。しかしながら、栄養不良や病態栄養管理を要する患者へのきめ細やかな栄養管理の必要性は、高度な医療の提供を行う施設のみならず、他の医療機能種においても同様です。
 「入院栄養管理体制加算」について急性期一般入院料1~3においても、1病棟に1名以上の管理栄養士の専従配置の拡充をお願いします。
(2)回復期リハビリテーション病棟入院料2~5に「管理栄養士の専任配置」の義務化及び「入院栄養食事指導料」の包括化除外
 回復期リハビリテーション病棟入院料1では、「管理栄養士の専任配置」が義務となり、「入院時栄養食事指導料」は包括から除外されています。回復期リハビリテーション病棟入院料1以外においても同様に、低栄養・フレイル等、栄養管理の必要性が高い患者が多く存在していますが、「管理栄養士の専任配置」が努力要件であり、「入院時栄養食事指導料」は、包括化されたままとなっています。
 回復期リハビリテーション病棟入院料2から5においても、管理栄養士が関わり栄養管理を実施する必要があることから、「管理栄養士の専任配置」の義務化及び「入院栄養食事指導料」が算定できるよう見直しをお願いします。
(3)「早期栄養介入管理加算」の算定者に対する「入院栄養食事指導料」及び「栄養情報提供加算」の併算定不可の見直し
 「特定集中治療室管理料」、「救命救急入院料」及び「ハイケアユニット入院医療管理料」等により入院している重症患者は、「早期栄養介入管理加算」が評価されていますが、入院中の「栄養食事指導料」は併算定できない要件となっています。
 しかし、現状、容態が安定しない重症患者においては、栄養食事指導を実施できる状況は少なく、容態が安定し、一般病棟へ転棟してから、退院後の再発防止や生活改善を含めた栄養食事指導を実施することになります。
 「早期栄養介入管理加算」の算定者に対する「入院栄養食事指導料」及び「栄養情報提供加算」が併算定できるよう見直しをお願いします。

2 包摂的社会の実現に向け、医療・介護・障害施設と地域(在宅)をつなぐシームレスな栄養管理、栄養食事指導体制の構築に向けた評価の充実

【診療報酬】
(1) 専門性の高い管理栄養士による「専門管理加算(仮称)」の新設 
 令和4年度診療報酬改定において、専門性の高い訪問看護師の管理に対する「専門管理加算」が新設されました。日本栄養士会においても日本病態栄養学会等の学会と共同認定として一定の要件を満たした専門性の高い管理栄養士の認定制度を構築し1,000名以上の専門管理栄養士を輩出しています。
 管理栄養士による「在宅患者訪問栄養食事指導料」が評価されていますが、より質の高い訪問栄養食事指導の充実を図る観点から、専門性の高い管理栄養士(在宅栄養専門管理栄養士)が、悪性腫瘍の疼痛療養及び化学療法を行っている利用者(患者)に対して、在宅患者訪問栄養食事指導の実施を評価する「専門管理加算(仮称)」の新設をお願いします。
(2)「機能強化型認定栄養ケア・ステーション」を診療所の「栄養食事指導」の連携先として評価
 有床診療所及び無床診療所においては、「外来及び入院栄養食事指導料」の一部が緩和され、当該診療所以外の日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」の管理栄養士が当該診療所の医師の指示に基づき、外来及び入院栄養食事指導、在宅患者訪問栄養食事指導を行うことが評価されています。
 日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」は110拠点ありますが、今後の将来推計では、多くの地域で多様な栄養課題を抱えた在宅患者数が増加することが見込まれており、そのニーズに対応するためには、日本栄養士会が認定している管理栄養士が所属する地域密着型の拠点である「機能強化型認定栄養ケア・ステーション」の活用も含めた体制整備を行うことが必要と考えます。
 「機能強化型認定栄養ケア・ステーション」に所属する管理栄養士は、医療や介護分野における実務経験を要し、定期的な研修を受講し修了した者であり、現在は97施設が認定されています。
 そこで地域での栄養管理の更なる推進に向けて「機能強化型認定栄養ケア・ステーション」を、「外来栄養食事指導料2」、「入院栄養食事指導料2」、「在宅患者訪問栄養食事指導料2」について診療所の連携先として評価していただきますようお願いします
※)栄養ケア・ステーションには、日本栄養士会 又は 都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」と日本栄養士会が事業者等を個別に認定する「認定栄養ケア・ステーション」があります。
 「認定栄養ケア・ステーション」の中でも、個人又は法人が設置する医療機関や医師会、介護事業所、管理栄養士又は管理栄養士が代表者たる法人(ただし、主たる事業が、栄養の指導及び管理並びに教育に関する役務の提供であること。)を事業者要件とし、医療又は介護の栄養管理等の実務経験が通算して5年以上あり、日本栄養士会が定める研修の受講、栄養管理に関する学会への所属、専門管理栄養士等の資格を有した管理栄養士を責任者としている事業所を「機能強化型認定栄養ケア・ステーション」として認定しています。

【介護報酬】
(1)「機能強化型認定栄養ケア・ステーション」を「栄養アセスメント加算」、「栄養改善加算」、「栄養管理体制加算」、「居宅療養管理指導Ⅱ」の連携先として評価
 「栄養アセスメント加算」、「栄養改善加算」、「栄養管理体制加算」、「居宅療養管理指導Ⅱ」の算定に係る管理栄養士は当該事業所の職員、又は外部(他の介護事業所、医療機関、介護保険施設及び、日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置・運営する「栄養ケア・ステーション」)との連携により、管理栄養士を1名以上配置して行うこととなっています。
 診療報酬における要望と同様に、「機能強化型認定栄養ケア・ステーション」の管理栄養士が外部の管理栄養士として連携できるよう、評価していただきますようお願いします。

【障害福祉サービス等報酬】
(1)生活介護事業所、障害児通所、共同生活援助(グループホーム)等における「栄養スクリーニング加算」、「栄養改善加算」の新設
 障害者通所事業所では、やせ及び肥満の栄養不良や摂食嚥下問題がある利用者が一定の割合で存在しており、利用者一人ひとりの個別性が高く、食事・栄養に関する課題が多数存在していますが、生活介護事業所には管理栄養士又は栄養士の配置基準はなく、栄養ケア・マネジメントを実施する体制が構築されていません。介護老人福祉施設等においては、「栄養ケア・ステーション」を含む外部の管理栄養士を活用した栄養ケア・マネジメントが行われ、その取組は報酬で評価されています。管理栄養士が配置されていない生活介護事業所、障害児通所、共同生活援助(グループホーム)等についても、外部の管理栄養士を活用して栄養ケア・マネジメントを行い、健康・栄養状態の改善を促すことが望まれます。
 このようなことから、食事・栄養に関する課題や摂食嚥下障害等がみられる生活介護事業所、障害児通所、共同生活援助(グループホーム)等において、利用者に対し栄養ケア・マネジメントを実施できるよう、介護報酬と同様に「栄養スクリーニング加算」、「栄養改善加算」を新設し、実施体制を確保するに当たっては、外部の管理栄養士が活用できる要件を付し、障害福祉サービス等報酬において評価していただきますようお願いします。
(2)障害者支援施設から医療機関や介護保険施設等への入院(入所)時の栄養情報連携の評価
 障害児者は、低栄養及び過栄養の栄養不良や摂食嚥下問題のある利用者が一定の割合で存在している他、障害特性など個別の課題を多く有しており、入所施設への入退所時の栄養情報連携は必要不可欠です。診療報酬や介護報酬においては、「栄養情報連携」により入院時の迅速な食事対応や在宅での食事を適切に提供することに繋がり、疾病の重症化予防や再入院の防止、さらには、栄養状態の維持・改善を図ることができています。
 そのため、障害福祉サービス等報酬においても障害者支援施設から医療機関や介護保険施設、障害者支援施設に入院(所)する際に、障害者支援施設の管理栄養士が入院(所)先の管理栄養士に対し栄養情報を提供した際に「栄養情報連携」に関する評価をお願いします。

3 安全に安心して暮らすことができる栄養管理体制の構築及び充実を図るための管理栄養士の活用に対する評価

【診療報酬】
(1)がん化学療法患者に対する専門的知識を有する管理栄養士が実施する外来栄養食事指導料に係る要件の拡充(放射線治療にも適応)及び月毎の回数の緩和
 がん診療連携拠点病院をはじめ、多くの医療機関で外来及び入院中の患者に対して、栄養食事指導や栄養管理が行われており、外来栄養食事指導(注3)においては専門的知識を有するがん病態栄養専門管理栄養士のがん化学療法中の患者に対する栄養食事指導が評価されています。外来通院中のがん放射線治療患者においても口内炎や嚥下障害など副作用は多岐にわたり、この副作用に対応した栄養状態の維持・向上や体重維持が重要であり、専門的な栄養管理が求められていることから、外来栄養食事指導料(注3)において、放射線治療中患者に実施した場合についても評価の拡大をお願いします。
 また多くの化学療法中及び放射線治療中患者においては、治療が継続して頻回に行われるため、副作用も長期間に渡り出現し、これらの状況に合わせたきめ細やかな栄養管理が継続的に実施できるよう、外来栄養食事指導料(注3)について、月1回までの算定を月2回まで緩和をお願いします。
(2)「外来及び入院栄養食事指導料」の対象疾患(精神科領域:統合失調症への適応)の拡大
 地域包括ケアシステムの構築には、精神障害者においても住み慣れた地域で自分らしく暮らしていくことが重要です。統合失調症は精神障害者の中でも占める割合が多く、治療に用いる抗精神病薬や不規則な食生活などの影響で体重増加や代謝疾患などの合併リスクが高いと報告されています。肥満を合併した統合失調患者では、抗精神病薬の服薬アドヒアランスが悪くBody Mass Index(BMI)が高いほど、その傾向は大きいため治療に悪影響を及ぼします。また、糖尿病などを合併すると禁忌になる抗精神病薬もあるため、適切な体重の維持、代謝疾患などの予防・改善は統合失調症の治療に不可欠です。さらに、在宅で暮らす統合失調症患者からは食事や栄養管理などの支援を求める声も多く上がっています。
 統合失調症の治療効果を高め、入院医療中心から地域医療中心への移行促進には定期的な栄養食事指導の実施が必要であることから、精神科領域における管理栄養士の活用として、統合失調症患者に実施する「外来及び入院栄養食事指導」の評価をお願いします。
(3)食事摂取に対するハイリスク患者への取り組みに関する評価。「食物アレルギー及び摂食嚥下調整に対するリスク管理評価加算(仮称)」の新設
 現在、栄養管理体制基準が整備され栄養管理が必要な入院患者に対して、栄養管理計画を立てて実施しており、摂食嚥下障害の患者や食物アレルギー患者においては嚥下障害への食形態の調整及びアナフィラキシーショックのリスクヘッジも含めた除去食の献立作成など、医療安全の観点から管理栄養士が詳細に聞き取りを行い個別に栄養管理を実施しています。そのため摂食嚥下低下(またはそのリスクが高い)の入院患者や複数の食物アレルギーを有する患者に対して、管理栄養士が個別に栄養管理を実施した場合において管理栄養士の栄養管理を含めた医療安全への取り組みに対する評価として「食物アレルギー及び摂食嚥下調整に対するリスク管理評価加算(仮称)」の新設をお願いします。

【介護報酬】
(1)「リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組」に対する評価
 リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組は一体的に運用されることにより、効果的な自立支援・重度化防止につながることが明らかになっており、医師、歯科医師、リハビリテーション専門職種、管理栄養士、歯科衛生士等の多職種が協働して総合的に実施することが政策課題となっています。また、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の一体的計画書の作成により、他職種同士の情報共有が緊密になり、早期から取組に反映できるという良い循環が生まれ、さらにはサービス利用者の生活機能や予後にとって有効である可能性も示唆されています。
 そのため、厚生労働省ではリハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の一体的計画書の様式例を提示し、活用を推進しています。しかし、その活用は低調であり、活用していない主な理由として「別の書式で運用」、「活用を促す加算がない」等、様式例を新たに導入する経営上のメリットがないことが指摘されていますが、各専門職がそれぞれに計画書を作成し、実践的な取組を行っています。
 また、「栄養マネジメント強化加算」により、施設系サービスへの管理栄養士の複数配置が推進されているものの、通所系サービスでは管理栄養士の配置は進んでいない現状からも、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の一体的計画書が評価されることで、通所系サービスにおける管理栄養士の配置が促進されます。
 このようなことから、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組において、各専門職がそれぞれに運用している既存の様式を一体的計画書に置き換え、有効な実践的な取組に対する評価をお願いします。
(2)管理栄養士による「居宅療養管理指導」における看取り期・緩和ケア・退院後の在宅訪問回数の緩和
 看取りや緩和ケアでは、退院後等の病態が不安定な時期の栄養介入は、患者と家族の心理社会的苦痛を和らげるだけでなく、終末期においても口から食べさせたいという想いを叶えることは大変意義深いとされています。
 今後、在宅での看取りが増えていくことが予想される中、「居宅療養管理指導」における在宅訪問回数を緩和し、終末期に集中的に栄養ケアが出来る体制が必要となります。また、がんなど緩和ケアが必要な場合においても同様に、在宅訪問回数の緩和が求められています。
 このようなことから、管理栄養士による「居宅療養管理指導」における看取り期・緩和ケア・退院後の在宅訪問回数の上限を月2回から月4回へ緩和をお願いします。

4 制度の安定性・持続可能性を向上するために、食事療養費に対する適切な対応

【診療報酬】
(1)入院時食事療養費について現在の情勢を鑑み、今後も入院時食事療養制度を維持するための適切な対応
 入院時食事療養費は、平成6年に現行の制度に変更され、消費税増税の対応として、平成9年に1日あたり1,900円から1,920円へ引き上げられて以降、25年以上、抜本的な見直しはされていません。
 入院時食事療養にあたっては、適時適温(夕食18時以降)、大量調理マニュアル等に沿った運用等が求められるとともに、摂食嚥下障害及び食物アレルギーを有する等の患者に対する個別対応の増加等、栄養・給食部門に従事する者の負担は増大しています。
 また、物価上昇により食材費が高騰(1日856円相当)していることや、労働人口の減少により、人材確保が困難となっている現状から、受託業者側の人件費は高騰し、委託給食会社が撤退する医療機関も散見され、病院における食事提供が困難となる状況も発生しています。
 このようなことから、今回の診療報酬改定においても、入院時食事療養費について現在の情勢を鑑み、今後も入院時食事療養制度を維持するための適切な対応をお願いします。
【介護報酬】
(1)基準費用額について現在の情勢を鑑みた適切な対応
 令和3年度の介護報酬改定においては、令和2年度介護事業経営実態調査結果からの平均的な食費の費用の額との差を考慮して、基準費用額が見直されています。(+53円/日)。
 しかし、摂食嚥下障害及び食事に配慮が必要な疾病を有する等、個別対応の増加により栄養給食部門に従事する者の負担は増大しています。
 また、令和3年以降における物価上昇による食材費の高騰、光熱費の上昇、労働人口の減少により人材確保が困難なこと等から人件費も上昇していることは明らかです。
 このようなことから、診療報酬と同様に現在の情勢を鑑み、基準費用額について、適切な対応をお願いします。

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