【農林水産省】平成27年度食料・農業・農村白書を公表
2016/05/25
ニュースのポイント
- 食料自給力指標は低下傾向、食料自給能力の低下が懸念される
- 日本型食生活や農林漁業体験になどの食育活動で、和食の保護・継承に向けて国民の理解を深めることが重要
- 東日本大震災被災3県では個人より法人による農業経営体が増加し、大型化・集団化が進んでいる
農林水産省は平成28(2016)年5月19日、「平成27年度食料・農業・農村白書」を公表した。TPP交渉の合意及び関連政策を特集し、食料の安定供給の確保、強い農業の創造、地域資源を活かした農村の振興・活性化、東日本大震災からの復旧・復興について、それぞれの平成27(2015)年度の取り組みをまとめている。また、平成28(2016)年度に講ずる予定の食料・農業・農村施策を紹介している。
TPPについては米、麦、甘味資源作物、牛肉・豚肉、乳製品の重要5品目の合意内容を簡潔にまとめており、総合的なTPP関連政策大綱を紹介。攻めの農林水産業への転換を示している。食料の安定供給の確保については、重点テーマの1つとして食料自給力を挙げ、食料自給率は18年間横ばいで推移しているものの、食料自給力指標で見ると低下傾向を示しており、今後の食料供給能力の低下を危惧している。一方、日本型食生活の実践や農林漁業体験などの食育活動は、消費者の食の理解を増進し、国産農産物の消費拡大につながるとしている。和食給食や各地域での食育活動で、和食の保護・継承に向けて国民の理解を深めることが重要としている。
東日本大震災からの農業の復興については、被災3県の農業経営体数は震災前の平成22年に比べて平成27(2015)年は22.6%減少しているものの、うち法人経営数は震災前に比して32.6%増加しており、農業の集団化・大規模化、新たな営農システムが動き始めていることがわかった。