受動喫煙が原因での死亡者数が年間1万5000人と推計
2016/06/17
ニュースのポイント
- 受動喫煙での死亡者数年1万5,000人と推計
- 受動喫煙で亡くなる人は女性が男性の2倍に上る
- 受動喫煙による家族や同僚の健康被害について、栄養指導の場で伝える必要がある
世界禁煙デーにあたる5月31日、厚生労働省主催のイベントにおいて、国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録解析室長より、国内で受動喫煙が原因で亡くなる人が年間1万5,000人に上るという推計が発表された。受動喫煙とは、他人のたばこの煙を吸い込むことであり、受動喫煙による健康への影響としてすぐに現れる症状は目やのどの痛み、咳、心拍数の増加、手足の冷えなどで、長期的な影響には心筋梗塞や呼吸機能の低下、流産・早産などが挙げられている。
今回の研究班の調査では、肺がん、心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳卒中、乳幼児突然死症候群の4つの病気で死亡した人に受動喫煙があったかどうかを調べた。受動喫煙有りの人がこれらの病気で死亡する危険性が1.28倍高まっていることから、国内の統計から推計して年間1万5,000人が受動喫煙が原因で死亡していると報告している。また、受動喫煙で亡くなるのは女性が男性の2倍多いとの結果も示し、女性はとりわけ家庭での受動喫煙が多いことも分かった。
昨年6月1日に改正された労働安全衛生法では、「受動喫煙防止対策」が事業者の努力義務となっているが、厚生労働省では現在その助成金の見直しに着手している。栄養指導の場などにおいても、管理栄養士・栄養士が本人に禁煙を促すのみにとどまらず、受動喫煙による家族や同僚の健康被害についても触れる必要がある。