【文科省、厚労省、農水省】16年ぶりに「食生活指針」が改定。生活の質(QOL)の向上を重視
2016/07/22
ニュースのポイント
- 16年ぶりに食生活指針が改定
- 「適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を。」の項目が7番目から3番目と上位に変更され、若年女性のやせ、高齢者の低栄養についての注意喚起が追記された
- 脂肪については“質”と“量”を明記。動物、植物、魚類の脂肪の質にも配慮することとした
今から16年前の平成12(2000)年に策定された「食生活指針」。これまでに、食育基本法をはじめ食生活に関する幅広い分野での施策に進展が見られたことから、平成28(2016)年6月に改定された。食料生産・流通から食卓、健康まで食生活全体を広く視野に入れて作成されていることが大きな特徴で、それぞれの項目は生活の質(QOL)の向上を重視し、バランスのとれた食事内容を中心に、食料の安定供給や食文化、そして環境にまで配慮したものとなっている。
変更点として、3「適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を。」が7番目から3番目と上位になったことが挙げられる。肥満の予防とともに高齢者の低栄養状態の予防が重要な健康課題となっている現状から、適度な身体活動量と食事量の確保を重視している。ほかの変更点としては、9に食料資源に関する項目が追加され、まだ食べられるのに廃棄されている"食品ロス"を減らす呼びかけをしている。7の「脂肪」については"質"と"量"についても明記されるようになり、動物、植物、魚由来の脂肪をバランスよくとることを掲げている。
指針は、まず健全な食生活をどう楽しむのかを考え、各項目を実践する中で食生活を振り返り改善するというPDCAサイクルの活用により、実践を積み重ねていくことを狙いとしており、解説要領では、指針の項目ごとに取り組むべき具体的内容が記載されている。
指針の活用により、国民一人一人が食生活の見直しに積極的に取り組めるよう、食生活改善、教育、食品産業及び農林漁業の各分野の関係者が、連携して諸活動を行うことが極めて重要としており、管理栄養士・栄養士は、食生活指針の理解を深め、各職域が緊密に連携し、各地域で効果的な普及・啓発を図り、国民の健康増進を推進していく必要がある。