【厚生労働省】国が初めて配食事業の栄養管理の在り方を整理!
2017/03/07
ニュースのポイント
- 「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理の在り方検討会」報告書を発表
- 配食の献立作成や注文時のアセスメントは管理栄養士・栄養士が担っていく
- 配食事業者向けガイドラインが策定され、平成29(2017)年度より運用される予定
在宅医療や在宅介護が推進されるなか、地域で暮らす高齢者が医療・介護関連の施設以外でも健康状態、栄養状態を適切に保つためには、良質な配食事業などによる食環境の整備が大きな支えとなる。実際に高齢者が利用している食事サービスは、外食や店で売っている弁当・惣菜が多く、「民間や公的機関の配食サービス」を利用している人は4%程度にとどまるものの、今後の利用意向は高くなっており、配食サービスの利用が本格的に拡大していくことが見込まれる。
しかし、配食サービス事業者では管理栄養士・栄養士が関わっていない事業者も少なくなく、管理栄養士・栄養士が不在の事業者が減塩食や糖尿病食などの治療食を提供していたり、栄養価計算を行っていない等の問題もある。
厚生労働省では平成28(2016)年7月から平成29年(2017)年3月1日まで全6回、「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理の在り方検討会」を開催し、その結果を報告書にまとめた。なお、検討会の構成員として、日本栄養士会 迫専務理事も参加している。
報告書では、配食事業における栄養管理の在り方として、継続的な提供食数がおおむね1回100食以上または1日250食以上(その一部に栄養素等調整食、物性調整食を含む)の事業者での献立作成は、「管理栄養士又は栄養士(栄養ケア・ステーション等、外部の管理栄養士又は栄養士を含む。)が担当(監修を含む。)することが適当である」とした。また、配食注文時のアセスメントおよび継続時のフォローアップは、利用者の身体状況や栄養状態の把握とともに、適切な食種の選択の支援(または判断)を行う観点から、「管理栄養士又は栄養士が担当することが望まれる」とした。
さらに、低栄養が疑われる者や在宅療養者については「管理栄養士が担当し、必要に応じ、当該利用者の了解を得てかかりつけ医(歯科についてはかかりつけ歯科医)等と連携することが適当である」とした。ほかに、調理や衛生管理、利用者への情報提供についてもとりまとめられている。
今後、平成28(2016)年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」に基づいて、この報告書を踏まえた配食事業者向けガイドラインがまもなく策定・公表される予定で、平成29(2017)年度より、ガイドラインに即した配食が普及されていく。
日本栄養士会 迫専務理事は、「管理栄養士・栄養士は配食事業において重要なポジションを占めることから、日本栄養士会として主体的にかかわり、地域高齢者の食生活を支援し生活の質(QOL)の維持・向上に貢献していきたい。」とコメントしている。