【文部科学省】冊子"チーム学校で取り組む食育推進のPDCA"を発表
2017/05/29
ニュースのポイント
- PDCAサイクルを基にした学校での食育推進方法を明確に示した冊子を発表
- 栄養教諭にかぎらず、全教職員が対象。地域に関わる管理栄養士・栄養士も必読
- 栄養教諭配置の有無により、児童生徒の食育に不平等がないように対策が必要
文部科学省は、学校における食育推進のための一連の取り組みを「計画」「実践」「評価」「改善」のPDCAサイクルに基づいて明確に示した冊子「栄養教諭を中核としたこれからの学校の食育~チーム学校で取り組む食育推進のPDCA~」を発表した。
栄養教諭は、教育に関する資質と栄養に関する専門性を併せ持つ職員として、学校給食を生きた教材として活用した効果的な指導を行うため、食に関する指導と、学校給食の管理を一体のものとして行う。しかし、配置状況は各自治体によって異なるため、各学校で食育が推進され、児童生徒にとって平等な教育が提供されるように、この冊子は栄養教諭にかぎらず管理職、学級担任などすべての教職員を対象として作成されている。
計画<PLAN>については、まず校長を責任者とした食育を推進するための体制(学校給食委員会など)を整備すること、そのうえで児童生徒の実態を把握して栄養や食文化の知識、食習慣、衛生管理などの指標を設定すること、食に関する指導を計画することを挙げている。栄養教諭は校内の教職員、家庭、地域との連携を図る役割を担うことが期待されている。
実践〈DO〉については、食に関する指導と学校給食の管理に大きく分け、指導は給食の時間、社会や体育などの教科での時間に加えて、個別的な相談指導も含まれている。毎日の給食の時間は学級担任が指導を担うが、栄養教諭は年間指導計画のなかで教室へ出向いて直接指導をしたり、学級担任が指導できるような資料を提供するなどの連携が必要とされる。また、栄養教諭は生活習慣病予防や食物アレルギーへの対応、スポーツ実施時の栄養・水分補給など、専門性を活かした指導を児童生徒と保護者に対して個別的に行ったり、養護教諭や学校医などとも連携をする必要がある。給食管理では栄養管理と衛生管理についてそれぞれの基準に基づいて実施し、教職員や調理員に情報提供や指導・助言を担っていく。
評価〈CHECK〉については、設定した指標に基づき、活動指標(アウトプット)と成果指標(アウトカム)を用いて振り返り、食育の成果と課題を把握することとされる。評価指標および評価項目は具体的に例示されているので参考にしたい。
改善〈ACTION〉については、評価結果をふまえて校長のリーダーシップのもと栄養教諭を中核として食育がより推進されるよう体制を見直していく。学校内にとどまらず、家庭や地域にも自己評価の結果を開示して成果を可視化することが重要となる。
栄養教諭の配置の有無によって児童生徒に食育の不平等がないように、管理栄養士・栄養士は児童生徒の生涯にわたる健康づくりが実現できるよう食育に貢献していくことが必須である。