【厚生労働省】「避難所等で生活している妊産婦、乳幼児の支援のポイント」を発表
2017/07/14
ニュースのポイント
- 出産に向けた心身の準備や産後の回復のために必要な支援のポイントをまとめて発表
- 避難所等での食事・水分のとり方の支援、授乳・調乳の衛生面での工夫についても掲載
- 医療機関、保健・医療サービス、ボランティアなどとの連携も支援として重要
7月上旬の九州北部の豪雨により、福岡県、大分県では1,000人以上が避難生活を送っている(7月14日現在)。これに際し、厚生労働省では、避難所等での生活の長期化に伴い、心身の健康への影響が心配されることから、被災した妊産婦、乳幼児、子どもに対する医師、看護師、保健師、管理栄養士・栄養士等の専門職の支援のポイントをまとめ、発表した。
妊婦または出産後間もない褥婦、乳幼児への支援のポイントとしては、まずはその所在と健康状態を把握し、妊婦健診や出産予定の施設を聞き取り必要に応じて調整すること。妊産婦、乳幼児は、要援護者として食料・水の配布に限らず、生活環境の確保や情報の伝達についても配慮すること。また、医療機関への相談および連絡が必要な症状として、胎動が減少していたりお腹の張りが多くある場合や、頭痛や目がチカチカするなどの症状(妊娠高血圧症候群の可能性)、悪露の増加(子宮収縮不良などの可能性)、乳房の発赤/しこり(乳腺炎の可能性)などを挙げている。
食事・水分の項目では、弁当やインスタント食品での食事が増えることにより塩分摂取量が増加する可能性があることから、支給された食べ物でも塩分が濃いものは残すように伝えること、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維を補給するため可能なかぎりおかずを揃えた食事を確保すること、体重の変化をみるなどして、十分な量の食事がとれているかを確認すること、熱中症予防に気をつけ、こまめに水分補給をするように伝えること、食中毒に注意することを対策として挙げている。
授乳については、ストレスなどで母乳の分泌が低下することもあるため、粉ミルクで補いつつ、授乳しやすいプライベートな空間を確保できるように配慮することや、調乳時の衛生面での工夫を掲載。乳幼児については体温調節や清潔を維持する方法、また、子どもと遊ぶことをボランティアに依頼する調整役など、生活面全般での支援が記載されている。
子どもへの支援のポイントとしては、子どもの心身の健康状態を把握して適切な助言をすること、必要に応じて専門家、医療機関等と連携すること、子ども同士の安全な遊びの場の確保や、子どもの思いや気持ちを受け止められるように周囲の大人とも調整することを挙げている。
管理栄養士・栄養士は今回の災害支援に携わる際に限らず、身近な環境での災害時に専門職としての力を発揮できるように一読しておきたい。