【国民生活センター】健康食品の摂取で薬物性肝障害発症の可能性ありと注意喚起
2017/08/22
ニュースのポイント
- 健康食品を食べて薬物性肝障害を発症する可能性がある
- 年齢、性別、健康食品の摂取頻度は問わず、発症の可能性は誰にでもある
- 管理栄養士・栄養士は、体調と健康食品の摂取有無のヒアリングが必要
独立行政法人国民生活センターは、薬の服用による副作用の一つとして肝臓の機能が障害される「薬物性肝障害」が、健康食品等の摂取でも発症する可能性があるとして、注意を呼びかけている。
これは、平成26(2014)年8月から国民生活センターのホームページ上に設置されている「医師からの事故情報受付窓口(愛称:ドクターメール箱)」に平成29(2017)年7月までに寄せられた179件のうち9件が「健康食品の摂取による薬物性肝障害」と診断された情報だったことによるもの。同センターが情報をとりまとめ、注意喚起するに至った。
今回寄せられた情報では、過去に肝障害の指摘を受けたことがない50歳代の女性が、通信販売で購入した特定保健用食品の粉末青汁を1回飲用したところ、腹部に不快感があり13日後に寒気、15日後に頭痛を発症し、肝臓に多く含まれる酵素(AST:858U/L、ALT:1090 U/L)の値が高く肝障害が認められ、34日間入院となった。また、10年以上前から数種の健康食品を摂取していた50歳代女性が、総合感冒薬を1日分摂取したところ約2週間後に腹部の不快感があり、血液検査でAST、ALTともに400U/L台と上昇がみられ、使用していた健康食品の1種と総合感冒薬が原因と考えられたという。
こうした情報から、帝京大学医学部長で日本肝臓学会副理事長の滝川一医師は、「医薬品や健康食品の使用が原因で、肝臓の機能が障害される薬物性肝障害を発症することがあり、年齢や性別は問わず、使用期間もさまざまで、誰にでも発症する可能性がある。医薬品や健康食品を使用していて、倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、発疹、吐き気・おう吐、かゆみの症状が1つ以上ある場合には、直ちに使用を中止して医療機関を受診すること。受診の際は、その商品やパッケージを持参するなどして情報を正確に伝えること」とコメントを寄せ、注意を呼びかけている。なお、薬物性肝障害に一度なったことがある人が、その原因となった医薬品や健康食品を再度使用すると、より重篤な肝障害を発症する可能性があると指摘されている。
管理栄養士・栄養士は、いわゆる健康食品と呼ばれる食品の摂取によって肝障害を発症する可能性があることを認識し、栄養指導・栄養相談などの場で、健康食品の摂取を確認した場合は、注意喚起をし、肝障害が懸念される場合は、内科または肝臓内科への受診勧奨をしましょう。
■健康食品の摂取により薬物性肝障害を発症することがあります-「医師からの事故情報受付窓口」から-(独立行政法人国民生活センター)