【厚生労働省】平成28年「国民健康・栄養調査」の結果を発表
2017/09/25
ニュースのポイント
- 糖尿病が疑われる者1000万人、40歳代男性で未治療者が多い
- 20歳代女性の2割が「やせ」。高齢者女性の低栄養傾向の者も増加している
- 野菜の摂取量は男女とも長野県がトップだが、長野県女性は塩分摂取量も多い
平成29(2017)年9月21日(木)、厚生労働省は、平成28(2016)年10~11月に実施した「国民健康・栄養調査」の結果をまとめ、発表した。この調査は健康増進法に基づいて、国民の身体の状況、栄養素等の摂取量、生活習慣の状況を明らかにして、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得るために毎年実施されており、管理栄養士・栄養士はこの調査結果を活用して、日ごろの「栄養の指導」を実践していくことになる。なお、平成28年調査は拡大調査が実施され、毎年の基本項目に加えて、糖尿病有病者等の推計人数、体格や生活習慣に関する地域格差を発表している。
本調査で、糖尿病が強く疑われる者は約1000万人と推計され、平成9(1997)年以降増加中である。糖尿病が強く疑われる者のうち、現在治療を受けている者の割合は76.6%で年々増加しているものの、40~49歳男性は51.5%とほかの年代よりも治療を受けている割合が低く、管理栄養士・栄養士はこの層へのアプローチが求められている。一方、糖尿病の可能性を否定できないもの(糖尿病予備群)も1000万人と推計されるが、平成19(2007)年に1320万人と推計されたのちは減少傾向にある。
肥満者(BMI<25(kg/m²))の割合は、男性31.3%、女性20.6%。やせ(BMI<18.5(kg/m²))は、男性4.4%、女性11.6%でこの10年間で有意に増加しており、なかでも20歳代女性のやせの割合が20.7%でもっとも高かった。一方、65歳以上の高齢者の低栄養傾向の者(BMI<20(kg/m²))は男性12.8%、女性22.0%だった。従来の肥満者や生活習慣病患者への栄養指導だけでなく、やせ及び低栄養傾向者への対策が急務と言える。
地域格差については、体格では20~69歳のBMI平均値(kg/m²)が男性で高知県(25.1)、福島県・宮崎県(24.8)、女性で福島県(23.9)、宮崎県・沖縄県(23.8)が高く、男性で新潟県(23.1)、愛知県・東京都・静岡県(23.3)、女性で福岡県(21.8)、京都府(22.0)が低かった。野菜摂取量の平均値(g/日)では男女とも長野県がもっとも多く(男性352、女性335)、男性は愛知県(229)、女性は大阪府(227)がもっとも少なかった。食塩摂取量の平均値(g/日)は男性で宮城県・福島県(11.9)、女性で長野県(10.1)が多く、男女とも沖縄県が少なかった(男性9.1、女性8.0)。あくまで都道府県の平均値での差ではあるが、「健康日本21(第二次)」のそれぞれの目標に届くよう、管理栄養士・栄養士は地域での栄養の指導を充実させていくことが重要である。