【厚生労働省】特定健康診査実施率、初の50%超え
2017/10/24
ニュースのポイント
- 平成27年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況がまとまり公表された
- 特定健康診査の実施率が平成20(2008)年度以降初めて50%を突破
- 特定保健指導の実施率は65歳以上で相対的に高く、40~44歳が14.8%で最低
平成20(2008)年度から、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき実施されている「特定健康診査・特定保健指導制度」。厚生労働省は平成27(2015)年度の実施状況を発表した。
当年度の特定健康診査の対象者数は約5396万人で、受診者数は約2706万人。実施率は50.1%で、この制度の施行以降初めて50%を超えた。性別では男性55.1%、女性45.3%で女性のほうが実施率は低い。男性では60歳以上で実施率が低くなる傾向がみられることから、勤務先での呼びかけ等が受診につながっている可能性が考えられる。
一方、特定健康診査を受けた者のうち、特定保健指導の対象者になった者は約453万人で、特定健康診査受診者の16.7%にあたる。その対象者のうち特定保健指導を終了した者の割合(特定保健指導実施率)は17.5%で、前年(平成26年)度に比べて実施率は0.3%減少した。減少の理由として、協会けんぽのシステムが一時的に遮断されたことなどにより、初回面接の件数が大きく落ち込んだことが影響していると考えられるという。特定保健指導実施率は年齢階級別では男女とも40~44歳が最も低く、65歳以上で相対的に高くなっている。実施率の低さは仕事や育児等の忙しさや、若さによる健康への過信なども可能性として考えられるため、管理栄養士・栄養士は40歳代、50歳代への積極的なアプローチが必要。
なお、特定健康診査受診者に占めるメタボリックシンドローム該当者および予備群は、わずかに減少しているという結果となった。しかし、特定保健指導の対象者は特定健康診査受診者のうち高血圧症・糖尿病・脂質異常症の治療に係る薬剤を服用していない者から選定されるため、すでに服薬している者のメタボリックシンドロームの該当者および予備群は増加していることがわかった。
特定健康診査の受診率は増加傾向にあるとはいえ、まだ50%台。特定健康診査から特定保健指導実施への流れもスムーズとは言いがたい。管理栄養士・栄養士は受診者への指導や対応にかぎらず、受診するきっかけづくりにもさらに関わっていくことが求められている。