【厚生労働省】「あなたの栄養と食生活のアドバイザー 管理栄養士を知っていますか?」報告書を公表
2018/01/16
ニュースのポイント
- 厚生労働省が地域における栄養ケア活動の状況を取材し報告書をまとめ、公表した
- 栄養をきちんと摂る難しさは、管理栄養士に相談したり指導を受けて改善を
- 国民に管理栄養士の役割を広く周知して、地域の栄養ケア活動を推進するねらい
厚生労働省は、高齢化や生活習慣病などの発症によって要介護高齢者や療養者が増えていることから、管理栄養士の役割を国民に広く周知し、地域における栄養ケア活動をより一層推進するために、都道府県栄養士会の取り組みについて『あなたの栄養と食生活のアドバイザー 管理栄養士を知っていますか?-都道府県栄養士会の取組を中心とした地域における栄養ケア活動と管理栄養士による訪問栄養食事指導』をまとめ、公表した。
報告書の第1部では、生きていくうえで生活習慣病をはじめとするさまざまな病気や要介護、低栄養状態となるリスクを抱えるなかで、国民それぞれが「栄養をきちんと摂ることの難しさ」を指摘。栄養と食生活の専門職である管理栄養士に相談をしたり指導を受けたりすることで、食習慣の偏りや不足している栄養素に気づいたり、自宅での介護食作りが可能となり家族全員のQOLが維持・向上するなど、一生をとおして食事を楽しむことができると提案している。
第2部では、厚生労働省の補助事業である栄養ケア活動支援整備事業を活用した茨城県、新潟県、京都府、兵庫県の4栄養士会の取り組みを紹介。茨城県栄養士会では、平成26年度に65人だった管理栄養士・栄養士の栄養ケアステーション人材登録数が平成28年度は146人に増え、自治体が開催するイベント会場などで住民に栄養相談を実施。「BDHQ」質問票を活用したきめ細やかな栄養相談を行っている。また、兵庫県栄養士会では「Myお食事ノート」を作成し、病院から退院して在宅療養に移行する際や自宅療養中の栄養管理を家族や医療・介護職種で情報共有するための工夫をしている。
この報告書では、すでに各地で実施されている管理栄養士の取り組み事例が数多く掲載され、国民に管理栄養士の専門性とその可能性を紹介する一方で、管理栄養士がどこにいるのか国民からは見えにくいという課題も指摘されている。自分たちの存在と役割を各地域の住民に広く周知するためにも、管理栄養士・栄養士はこの報告書を参考に、自らの仕事や地域での活動をもう一歩前に踏み出す必要がある。