【文部科学省】『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』が公表される
2021/02/05
ニュースのポイント
- 『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』が5年ぶりに全面改訂された
- 七訂追補(2016年~2019年)の検討結果を全体に反映し、収載食品数は2,478 食品に増加
- その他、調理済み食品の情報の充実、エネルギー計算方法の変更等がなされた
文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会は2020年12月25日(金)に『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』を公表した。
『日本食品標準成分表』は、日常的に摂取する食品の標準的な成分値を収載する唯一の公的データ集として、1950年以来、食の状況や栄養学の知見の変化等に合わせて改訂が行われている。給食・調理現場等における献立の栄養量の計算や、栄養指導・食育のための資料、その他、教育・研究・行政分野での基礎資料等として幅広く活用されている。
最近では、栄養成分表示をする事業者や個人の食事管理におけるニーズが高まっていることから、文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会の下、食品成分委員会を設置し、継続的に検討を進めている。それらの検討は毎年、「追補」の形で情報提供がなされている。
今回は「八訂」として5年ぶりとなる改訂が行われた。改訂のポイントは「調理済み食品の情報の充実」、「炭水化物の細分化とエネルギーの算出方法の変更」、「七訂追補(2016~2019)の検討結果の反映」の3点である。
「調理済み食品の情報の充実」では、個人の食生活や施設給食の変化から需要が増大している、冷凍、チルド、レトルトの状態で流通する食品について、これまで「調理加工食品類」として収載していたものを含め、食品群名を新たに「調理済み流通食品」とし、配食事業者等から収集した原材料配合割合をもとに算出した成分値を収載するとともに、素材の重量や成分の変化についての情報を収載した。
「炭水化物の細分化とエネルギーの算出方法の変更」では、糖類の摂取量や摂取エネルギーをより正確に把握するため、従来の炭水化物をエネルギー利用性の観点から、「でん粉と糖類(利用可能炭水化物)」と「食物繊維総量」「糖アルコール」に分けて表示した。『日本食品標準成分表2010』から蓄積を図ってきた、たんぱく質のアミノ酸組成や脂肪酸の分析値とともに、利用可能炭水化物や食物繊維等の成分値を用いてエネルギー計算を行うことで、食品のエネルギー値の確からしさを向上させた。
なお、この変更は成分表の科学的な確からしさの向上を目指すもので、従来の簡易なエネルギー計算方法を否定するものではないとしている。
「七訂追補(2016~2019)の検討結果の反映」では、追補等で公表した新規187食品の収載に加え、成分値の変更があった素材食品から計算される複合食品の成分値を変更した。また、即席めんおよびカップ麺の調理後の成分値等を追加した。これにより、収載食品数は2,191食品から2,478食品に増加した。
この他、「ナイアシン当量」、「難消化性オリゴ糖等を含む食物繊維」の成分表示の追加や、調理に関する諸表の充実等が行われている。
『日本食品標準成分表』の改訂や追補では、食生活の変化や利用する現場の需要に即した情報の更新が行われている。改訂の目的やその内容を理解し、管理栄養士・栄養士の業務に活用することが求められる。
■『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』を見る(文部科学省)
■『日本食品標準成分表』に関するQ&Aを見る(文部科学省)