国立高度専門医療研究センター6機関の連携による「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」公開
2021/03/23
ニュースのポイント
- 専門性を有する国立高度専門医療研究センターの6機関が共同で「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」をまとめた
- 健康を左右する10項目について、予防行動などに関する「国民一人一人の目標」と個人を取り巻く社会的要因に関する「公衆衛生目標」を提示した
- 予防行動などについて疾患横断的にまとめられた日本で初めての試み
国立研究開発法人国立がん研究センターをはじめとする専門性を有する国立高度専門医療研究センターの6機関が共同で、「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」をまとめた。
平均寿命と健康寿命の差は「不健康な期間」とされ、日常に制限が生じる。この「不健康な期間」に関連する疾患は年代により様々で、健康寿命の延伸にはそれらの発症のみならず再発・重症化も含めて広く予防する必要がある。この「不健康な期間」をどれだけ減らすことができるかが鍵になるともいえる。したがって健康寿命の延伸には小児、妊婦、成人、高齢者など年齢や状態に応じて様々な疾患を横断的に予防することが必要であるが、これまで予防について疾患横断的にまとめられたガイドラインや指針がなかった。そこで高度専門医療研究センターの6機関は2017年度より公衆衛生・予防医学分野の疾患横断的研究連携事業を開始し、現時点で確認されている国内外の疫学的エビデンスに基づく今回の提言をまとめるに至った。
この提言を地域医療・保健専門職や政策決定者が、国民への保健指導や街づくりなどを行う際に活用することを目標としている。
提言では健康を左右する生物学的要因と生活習慣、個人の社会経済的状況や居住する地域社会の社会的・物理的環境10項目について、予防行動などに関する「国民一人一人の目標」と個人を取り巻く社会的要因に関する「公衆衛生目標」を提示した。10項目とは、「喫煙」「飲酒」「食事」「体格」「身体活動」「心理社会的要因」「感染症」「健診・検診の受診と口腔ケア」「成育歴・育児歴」「健康の社会的決定要因」。
この提言は予防行動などについて疾患横断的にまとめられた日本で初めての試みであり、国立高度専門医療研究センターの6機関は今後も連携を図りコホート研究を推進し、日本人のためのより確かな提言として更新を継続するとしている。
■国立がん研究センター 社会と健康研究センター
電子化医療情報を活用した疾患横断的コホート研究情報基盤整理事業
疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言