【厚生労働省】安全性審査を経た遺伝子組換え食品と添加物が示された
2021/04/02
ニュースのポイント
- 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会が開催された
- その中で、安全性審査を経た遺伝子組換え食品と添加物が示された
- 新たに「ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領に基づき届出された食品及び添加物一覧」が示された
2021年3月22日(月)、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会がオンラインにて開催された。主な議題は、「組換えDNA技術応用食品等の製造基準の適合確認について」であった。
遺伝子組換え食品等を輸入・販売等する際には、安全性審査を行う必要があり、審査を行っていない遺伝子組換え食品や、これを原材料に用いた食品などの製造・輸入・販売等は、『食品衛生法』に基づき禁止されている。安全性審査は、品目ごとに厚生労働省が食品安全委員会の意見を聴いて行うこととなっている。当部会では安全性審査を経た遺伝子組換え食品(8作物325品種)と添加物(20種類49品目)が示された。
また、今回新たに「ゲノム編集技術応用食品及び添加物の食品衛生上の取扱要領に基づき届出された食品及び添加物一覧」が示された。ゲノムとは遺伝子でない部分も含むDNA全体のことで、ゲノム編集食品では、特定の塩基配列を認識する人工酵素を細胞の中で働かせ、その塩基配列上の特定部位の切断を行う。その後、生物のDNAの持つ修復機構が働くことを利用して、以下のようDNA配列の変化を起こさせる。
・自然界においても起こり得る塩基の欠失、挿入、置換
・1~数塩基の狙った変異
・遺伝子などの長い配列の挿入や置換
具体的な品目としては、グルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子の一部を改変しGABA(γ-aminobutyric acid;γ-アミノ酪酸)含有量を高めたトマトが示されている。グルタミン酸脱炭酸酵素はグルタミン酸のカルボキシル基を除去し GABA を合成する酵素であり、この遺伝子を改変することでトマト赤熟果実における GABA 蓄積量が向上する。このトマトについては、ゲノム編集技術によるDNAの変化がヒトの健康に悪影響を及ぼす新たなアレルゲンの産生および既知の毒性物質の増加を生じないことについては確認がされている。また、代謝系に影響を及ぼす遺伝子の改変ではあるが、グルタミン酸量やその他糖、有機酸、必須アミノ酸、タンパク質、カロテノイド等の含有量については通常のトマトと有意差がないことも確認されている。
すでに市販されているGABA 高蓄積トマトは、栽培方法の工夫によって収量性を落として高い GABA 含量を可能にしているのに比べて、今回のトマトは通常の栽培でも GABA含量が高くなるところに利点がある。
今回の部会はゲノム編集技術応用食品および添加物の今後の発展を示唆する新たな動きとなった。
■2021年3月22日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会(オンライン会議)資料(厚生労働省)
■ゲノム編集技術応用食品等について詳しく見る(厚生労働省)
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