【厚生労働省】『妊産婦のための食生活指針』が改定される
2021/04/19
ニュースのポイント
- 厚生労働省は『妊産婦のための食生活指針』を改定し、『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 ~妊娠前から健康なからだづくりを~』とした
- これまでの指針が策定されて以降、約15年間で変化した、妊産婦を取り巻く社会状況などを反映したものとなっている
- 「妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう」と、栄養バランスに配慮した食生活の意識・実践を促している
厚生労働省は『妊産婦のための食生活指針』の改定を行い、2021年3月31日(水)に『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 ~妊娠前から健康なからだづくりを~』として公表した。
『妊産婦のための食生活指針』の策定から約15年が経過し、健康や栄養・食生活に関する課題を含む妊産婦を取り巻く社会状況等は変化した。この間に『食育基本法』が制定され、『健康日本21』は第二次計画となった。また、『妊産婦のための食生活指針』はもともと『健やか親子21』推進検討会において策定されたが、2015年からは『健やか親子21』も第二次計画となっており、2019年には中間評価などに関する検討会報告書も公表された。このような国内の動きや国際的な動向を反映するため、今回の改定が行われた。
大きな改定点の一つとして、タイトルに「妊娠前からはじめる」と加えられたことが挙げられる。胎児期の発育が十分でなかった場合、成人後に肥満、循環器疾患、2型糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが高まる可能性があることが、多くの先行研究で報告されている。これまでも指針内には「妊娠前から、健康なからだづくりを」の記載はあったが、今回はタイトルで明示するとともに、「妊娠前から、バランスのよい食事をしっかりとりましょう」と項目内でも示す形に変更されている。
その他の項目については、「『主菜』を組み合わせてたんぱく質を十分に」とし、体を構成するために必要不可欠な栄養素であるたんぱく質の供給源として「主菜」があることをより明確にしている。同じく妊娠・出産・育児に適したからだをつくるために欠かせないカルシウムについては、これまで示されていた乳製品に加えて緑黄色野菜や豆類、小魚など多種の食品を挙げている。
妊娠中の身体活動・運動が早産および低出生体重児のリスクを増加させないことが明らかになってきたことから、「無理なくからだを動かしましょう」という項目が新設された。「からだと心のゆとり」については、「周囲のあたたかいサポート」という言葉が加えられ、妊産婦を取り巻く社会状況などの変化を反映したものとなっている。
■『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 ~妊娠前から健康なからだづくりを~』を見る(厚生労働省)
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