【厚生労働省】令和元年度地域保健・健康増進事業報告書を公表
2021/07/20
ニュースのポイント
- 厚生労働省は、2021年6月29日(火)に、「令和元年度地域保健・健康増進事業報告書」の結果を公表した
- 平成30年度から令和元年度の間に全国の行政栄養士は87人増加した
- 結果のポイントは「妊娠届出の状況」および「常勤保健師の配置状況」の2つ
厚生労働省は、2021年6月29日(火)に、「令和元年度地域保健・健康増進事業報告書」の結果を公表した。「地域保健・健康増進事業報告書」は、地域住民の健康保持や増進のために保健所や市区町村が行う保健施策について把握し、国や地域公共団体が今後実施する施策を効率的・効果的に推進するための基礎資料を得ることを目的としている。
主な報告事項は「地域保健事業(母子保健・健康増進・歯科保健・精神保健福祉・エイズ・予防接種・職員の配置状況)」と「健康増進事業(健康診査・歯周病疾患検診/骨粗鬆症健診・健康教育・健康相談・訪問指導・がん検診・肝炎ウイルス検診)」。
このうち「地域保健事業」の職員の配置状況については以下の結果が示された。
・常勤職員数(令和元年度)管理栄養士 3,641人 栄養士 320人 計 3,961人
・平成30年度から令和元年度の間に全国の行政栄養士は87人増加した。
日本栄養士会および都道府県栄養士会は、これまで行政栄養士の配置を各自治体に要望してきた。高齢者に包括的な支援・サービスを提供するための地域包括ケアシステムの構築は市区町村の責務であり、低栄養予防や生活習慣病の重症化予防などの栄養課題への対策を実効性のあるものとするためにも、行政栄養士の存在は欠かせないものである。しかしながら介護保険・高齢者福祉部門における管理栄養士の配置がある都道府県や市区町村は少ないのが現状で、栄養士配置の要望を継続する必要がある。
令和元年度の結果のポイントの一つに、妊娠届出の状況についての報告が挙げられる。令和元年度に妊娠の届出をした者は914,183人で、妊娠週(月)数別にみると「満11週以内(第3月以内)」に届出をした者が854,568人(構成割合93.5%)と最も多い。その割合は、平成15年度の集計開始以来最も高い。
妊娠届出数は減少し続けている。健康や栄養・食生活に関する課題を含む妊産婦を取り巻く社会状況は変化していることなどを受けて、厚生労働省ではこれまで使用してきた「妊産婦のための食生活指針」から「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを~」への改訂を令和3年3月に行っている。リーフレットや食生活Bookも作成されており、積極的な活用が望まれる。
その他の結果のポイントとしては、常勤保健師の配置状況についての報告が挙げられる。令和元年度末現在の保健所および市区町村における人口10万人あたりの常勤保健師数は、全国では21.1人で、都道府県別にみると島根県が46.1人と最も多く、次いで高知県40.0人、山梨県37.0人となっている。
令和元年度に保健所および市区町村が実施した健康増進関係事業の被指導延人員は7,213,814人で、そのうち「栄養指導」が4,567,394人と最も多く、次いで「運動指導」が1,459,420人となっている。指導対象区分別にみると、「栄養指導」では「乳幼児」が2,652,092人と多い。
「健康増進事業」の報告における「健康相談」では、重点健康相談を内容別にみると、「病態別」が122,534人と最も多くなっていることが示された。「病態別」とは、重点健康相談の高血圧・脂質異常症・糖尿病・歯周疾患・骨粗鬆症・女性の健康を除く、肥満・心臓病などの病態別に個人の食生活その他の生活習慣を勘案して行う相談指導などのことである。
このように、「地域保健事業」「健康増進事業」の各報告から、栄養士の必要性が改めて確認された。