<深読み>【日本摂食嚥下リハビリテーション学会】嚥下調整食分類2021の公表
2021/10/07
ニュースのポイント
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会が「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」を公表
- 学会分類 2013発表後8年が経過し、新たな知見や会員からのパブリックコメントを受けて改訂
- 日本栄養士会では、摂食嚥下に関する研修会を開催
※2021年10月7日(木)更新
※2021年9月9日(木)公開
日本摂食嚥下リハビリテーション学会は2021年9月7日(火)に、「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021(学会分類2021)」を公表した。これは「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2013(学会分類2013)」の作成から8年後に公表されたもので、新たな知見や会員からのパブリックコメントを受けて、改訂となった。
食事の分類およびとろみの分類を示したもので、「学会分類2021(食事)」と「学会分類2021(とろみ)」がある。基本的な分類構造は学会分類2013を踏襲しており、分類表自体に大きな変化はない。
学会分類2021では学会分類2013(食事)と同様に、原則的に段階を形態のみで示し、量や栄養成分については設定していない。この分類は嚥下調整食の分類であって、食種ではない。常食においても主食・主菜・副菜・汁物など料理の位置づけにより含まれる栄養素は異なり、コード別に栄養量を設定することに無理があるためである。しかし病態に応じた摂取できる量と喫食者の栄養必要量を考慮し、適切な栄養量を含む必要がある。コード1j(とろみ)からコード4は嚥下調整食であり、栄養摂取も目的のひとつである。極端にエネルギー密度の低いものは好ましくない。つまり、嚥下調整食とはコード0のように嚥下「訓練食品」としての位置づけであるものから、栄養補給(確保)の食事としての役割も担っていると捉えることができる。
学会分類2021では、学会分類2013(食事)同様、段階の分類規定に物性測定値の表記がない。しかし学会分類2021(食事)では、対応する既存の段階的分類を明示しており、それらの中に物性測定値で基準を示しているものもあるため、参考とすることができる。形態・性状について最大公約数的表現にて平易な日本語表記が使用されているが、起想するイメージについては個人差が大きいため、解説文を熟読した上の理解が必要である。
学会分類2021(とろみ)では、学会分類2013(とろみ)と同様に、嚥下障害者のためのとろみ付き液体を、「薄いとろみ」「中間のとろみ」「濃いとろみ」の3段階に分けて表示をしている。性状の説明・粘度・LST値に加え、学会分類2021では新たに10mlシリンジを用いた10秒後の残存量を示している。
本文の最後にはQ&Aも設けられている。その中でとろみの基準について、薄い・中間・濃い以外に「極薄い」を設けてはどうかという点について触れている。基準が増えることで煩雑となり現場レベルの混乱も招きかねるとして3段階の運用が継続されているものの、より細かな濃度の設定が必要な場合は各施設で規定する運用が推奨されている。
嚥下調整食分類では、嚥下「障害」食とはせず、調整したという意味で「嚥下調整食」としている。あくまでも食事として提供することを想定した名称であることを理解したうえで活用したい。
●監修:林 公也(ホームページ運営委員会委員福祉職域担当)
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