<深読み>【文部科学省】「栄養教諭の配置効果」に関する調査研究報告書公表
2022/02/21
ニュースのポイント
- 栄養教諭制度の開始から十数年経ち、その配置効果を調査した報告書を公表
- 12校の実践事例では、成果のみならず「何を目標にしてどのように行ったのか」、「誰とどのように連携したのか」を記載
- 文部科学省のホームページにリーフレット「栄養教諭の配置効果を御存知ですか? -様々な課題に対する相談指導-」を公表
※2022年2月21日(月)更新
※2022年2月4日(金)公開
文部科学省が『「栄養教諭の配置効果」に関する調査研究報告書』を公表した。報告書では、一層の栄養教諭の活用及び配置促進につなげることを目的とし、偏食のある児童生徒、肥満・やせ傾向にある児童生徒等を対象とした個別的な相談指導について、栄養教諭ならではの指導の成果を整理している。
栄養教諭の制度化は2005年度から始まり、学校栄養職員は栄養教諭になることができるようになっ
栄養教諭は、教育に関する資質と栄養に関する専門性を併せ持ち、食に関する指導と学校給食の管理を一体のものとして行うことを職務とした配置である。食に関する指導のうち、個別的な相談指導については学校担任や家庭だけでは対応が困難な場合も多い。栄養の専門家である栄養教諭が中心となって取り組む意義がある。しかし現状は栄養教諭の採用自体をしていない自治体があったり、食育の必要性や理解度によって栄養教諭が食育指導以外に時間を取られていたりと、その役割が果たしにくい環境にある。
この調査は、
・栄養教諭が中心となって行う個別的な相談指導に係る客観的経ちな成果をできる限り明らかにすること
・効果をわかりやすくまとめたリーフレット等を作成すること
で、栄養教諭の活用・配置促進につなげることを目的とした。
報告書には12校の実践事例が載っている。成果だけでなく、「何を目標にしてどのように行ったのか」、「誰とどのように連携したのか」が記されている。個人情報の管理の仕方についても書かれており、参考になる。
特筆すべきは、「アセスメント」と「相談指導計画」である。
アセスメントにより現状把握と課題の抽出を行い、これを根拠に個人目標の設定・計画立案を行う。相談指導計画は「栄養補給計画」、「行動計画」、「栄養教育計画」、「連携についての計画」という4つの計画に分かれており、この計画を設計する能力が求められていることがわかる。
また、成長曲線の把握・予測が個別的な相談指導を行う上で重要であることが改めて確認された。
文部科学省のホームページに、リーフレット「栄養教諭の配置効果を御存知ですか?-様々な課題に対する相談指導-」が公表されている。課題別に相談指導による効果の事例が紹介されているほか、学校関係者から見た栄養教諭の配置効果も掲載されている。
●監修:加藤耕平(ホームページ運営委員会委員学校健康教育職域担当)
■「栄養教諭の配置効果」に関する調査研究報告を見る(文部科学省)
■「栄養教諭の配置効果を御存知ですか?-様々な課題に対する相談指導-」を見る(文部科学省)