【厚生労働省】「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」の一部改正
2022/04/28
ニュースのポイント
- 厚生労働省は、「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」の一部を改正
- アレルギー疾患医療を提供する体制の確保において、医療従事者として管理栄養士が明記
- 災害時の栄養・食生活支援におけるJDA-DATの活動に期待が寄せられている
厚生労働省は、2022年3月14日(月)に「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」の一部を改正する件についての通知を発出した。
「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」(以下、本指針)は、「アレルギー疾患を有する者が安心して生活できる社会の構築を目指し、国、地方公共団体が取り組むべき方向性を示すことにより、アレルギー疾患対策の総合的な推進を図ることを目的」として「アレルギー疾患対策基本法」(以下、本法)に基づき策定されている。また、本指針は本法により「少なくとも5年ごとに、アレルギー疾患対策基本指針に検討を加え、必要があると認めるときには、これを変更しなければならない」とも規程されている。
今回の改正内容は、以下の4点とされている。
- アレルギー疾患に関する啓発及び知識の普及について、両親学級等の機会を活用し、出生前から保護者等への適切な情報提供に取り組むことを明記する
- アレルギー疾患医療を提供する体制の確保について、医療従事者として歯科医師及び管理栄養士を明記するほか、アレルギー疾患医療の専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成等について中心拠点病院及び都道府県拠点病院等の協力のもと推進すること、並びに「アレルギー疾患医療提供体制の在り方に関する検討会」の検討結果に基づく体制整備を行うことを明記する
- アレルギー疾患に関する調査及び研究について、「免疫アレルギー疾患研究10か年戦略」に基づき、患者の視点に立った研究を推進することを明記する
- 地域の実情に応じたアレルギー疾患対策の推進について、地方公共団体が、都道府県アレルギー疾患医療連絡協議会等を通じて実情を把握した上で、施策の策定及び実施に努めることを明記する
また、本指針の改定では、災害時のアレルギー対策として、「国は、平時から、避難所における食物アレルギー疾患を有する者への適切な対応に資する取組を地方公共団体と連携して行うとともに、災害時においては、乳アレルギーに対応したミルク等の確実な集積と適切な分配に資するため、それらの確保及び輸送を行う。また、地方公共団体は、食物アレルギーに対応した食品等を適切なタイミングで必要な者へ届けられるよう、防災担当部署等の被災者支援に関わる部署とアレルギー疾患対策に関わる部署等が連携し、可能な場合には関係団体や専門的な知識を有する関係職種の協力を得て、避難所における食物アレルギーを有する者のニーズの把握やアセスメントの実施、国及び関係団体からの食料支援も活用した食物アレルギーに配慮した食品の確保等に努める」ことが明記された。
これは、災害時の栄養・食生活支援において専門的なスキルを有する日本栄養士会災害支援チーム(JDA-DAT)の活動に期待を寄せるものである。「特殊栄養食品ステーション」の設置等によるアレルギー対応食を含む個別のニーズに応じた食品の提供等を介して、より一層食物アレルギー疾患を有する方に対する栄養・食生活支援が行われるよう、日本栄養士会の取り組みをさらに推進するとともに、平時から地方公共団体との連携体制を構築することが求められている。
■アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針の一部を改正する件についての通知を見る(厚生労働省)
■「避難所等における食物アレルギー疾患を有する被災者への対応について(依頼)」を見る
■日本栄養士会のJDA-DATの活動について見る
■日本栄養士会の認定制度「食物アレルギー管理栄養士・栄養士」について見る