令和6年度診療報酬改定のポイント
令和6年度診療報酬改定に伴う日本栄養士会からの情報
令和6年度診療報酬改定においては、介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の3つが同時に改定される、いわゆる「トリプル改定」の中で、例年以上に多くの栄養関連項目が評価されました。
重要なポイント
- 院内外の「リハビリ-栄養管理-口腔管理」の推進を中心とした、多職種及び同職種間での連携の推進
- 包摂的社会実現に向けてのGLIM基準をはじめとした「標準的」な栄養管理の推進
管理栄養士が外来・入院・在宅で実施する栄養管理が、関わる全ての方々の健康維持増進に貢献できるよう更に一丸となり進めていく必要があると考えます。
今後、実態形成は在宅も含めた部分でさらに重要度が増していくと想定されます。引き続き、皆様の業務の見える化(論文等)が求められます。
令和6年度診療報酬改定(栄養関連項目)の概念図
令和6年度診療報酬改定の概要(栄養関係部分の主な変更点)
告示・通知全体:令和6年度診療報酬改定について(厚生労働省ホームページ)を見る
外来・在宅ベースアップ評価料(新設)
外来・在宅医療を実施している医療機関に勤務する、管理栄養士を含めた医療関係職種の賃金改善を実施している場合の評価が新設されました。
【Ⅰ-1 医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組-①】
賃上げに向けた評価の新設
第1 基本的な考え方
看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について、賃上げを実施していくため、新たな評価を行う。
第2 具体的な内容(抜粋)
外来医療又は在宅医療を実施している医療機関(医科)において、勤務する看護職員、薬剤師その他の医療関係職種の賃金の改善を実施している場合の評価を新設する。
◉新設
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)(1日につき) 基本診療料の施設基準等の一部を改正する告示:別表第一(抜粋)
- 初診時 6点
- 再診時等 2点
- 訪問診療時
-
- 同一建物居住者等以外の場合 28点
- イ以外の場合 7点
入院ベースアップ評価料(新設)
病院又は有床診療所において、勤務する管理栄養士を含めた医療関係職種の賃金改善を実施している場合の評価が新設されました。
【Ⅰ-1 医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組-①】
賃上げに向けた評価の新設
第1 基本的な考え方
看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について、賃上げを実施していくため、新たな評価を行う。
第2 具体的な内容(抜粋)
病院又は有床診療所において、勤務する看護職員、薬剤師その他の医療関係職種の賃金の改善を実施している場合の評価を新設する。
◉新設
入院ベースアップ評価料(1日につき) 基本診療料の施設基準等の一部を改正する告示:別表第一(抜粋)
入院ベースアップ評価料 1~165点
①入院基本料等の見直し(栄養管理体制の基準の明確化)
退院後の生活を見据え、入院基本料の施設基準における栄養管理体制の基準を明確化する見直しが行われました。
【Ⅰ-1 医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取組-②】
入院基本料等の見直し
第1 基本的な考え方(抜粋)
退院後の生活を見据え、入院患者の栄養管理体制の充実を図る観点から、栄養管理体制の基準を明確化する。
第2 具体的な内容(抜粋)
入院料の施設基準における栄養管理体制の基準に、標準的な栄養評価手法の活用及び退院時も含めた定期的な栄養状態の評価を栄養管理手順に位置づけることを明確化する。
◉改定
栄養管理体制の基準
[施設基準] 基本診療料の施設基準等の一部を改正する告示(抜粋)
- 当該病院である保険医療機関内に、常勤の管理栄養士が一名以上配置されていること。(特別入院基本料、月平均夜勤時間超過減算及び夜勤時間特別入院基本料を算定する病棟を除く。)
- 入院患者の栄養管理につき必要な体制が整備されていること。
[施設基準補足] 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)(抜粋)
- 栄養管理体制の基準
-
- 管理栄養士をはじめとして、医師、看護師、その他医療従事者が共同して栄養管理を行う体制を整備し、あらかじめ栄養管理手順(標準的な栄養スクリーニングを含む栄養状態の評価、栄養管理計画、退院時を含む定期的な評価等)を作成すること。
②地域包括医療病棟入院料(新設)+リハビリテーション・栄養・口腔連携加算(新設)
地域包括医療病棟入院料が新設され、専任の常勤の管理栄養士の病棟配置を求めるとともに、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算が新設されました。
【Ⅱ-2 生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組-①】等
地域で救急患者等を受け入れる病棟の評価
第1 基本的な考え方
高齢者の救急患者をはじめとした急性疾患等の患者に対する適切な入院医療を推進する観点から、高齢者の救急患者等に対して、一定の体制を整えた上でリハビリテーション、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に提供することについて、新たな評価を行う。
第2 具体的な内容
地域において、救急患者等を受け入れる体制を整え、リハビリテーション、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に担う病棟の評価を新設する。
◉新設
地域包括医療病棟入院料(1日につき) 3,050点
[算定要件] 基本診療料の施設基準等の一部を改正する告示(抜粋)
- 当該病棟に専任の常勤の管理栄養士が1名以上配置されていること。
- 当該病棟に入院中の患者に対して、ADL等の維持、向上及び栄養管理等に資する必要な体制が整備されていること。
◉新設
リハビリテーション・栄養・口腔連携加算(1日につき)80 点
[算定要件] 診療報酬の算定方法の一部を改正する告示:別表第一(抜粋)
リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理を連携・推進する体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者については、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算として、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理に係る計画を作成した日から起算して14日を限度として80点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号A233-2に掲げる栄養サポートチーム加算は別に算定できない。
[施設基準] 基本診療科の施設基準等の一部を改正する告示(抜粋)
- 当該病棟に入院中の患者に対して、ADL等の維持、向上及び栄養管理等に資する十分な体制が整備されていること。
- 口腔管理を行うにつき必要な体制が整備されていること。
③入退院支援加算1・2の見直し
入退院支援加算1・2が見直され、退院支援計画の内容に、リハビリテーション・栄養・口腔に関する支援内容が求められることになりました。
【Ⅱ-2 生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組-⑧】
入退院支援加算1・2の見直しについて
第1 基本的な考え方
入退院支援における、関係機関との連携強化、生活に配慮した支援の強化及び入院前からの支援の強化の観点から、入退院支援加算1及び2について要件を見直す。
第2 具体的な内容(抜粋)
退院支援計画の内容に、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等を含む退院に向けた入院中に行う療養支援の内容を盛り込むことを明記する。
◉改定
入退院支援加算
[算定要件補足] 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(抜粋)
- 退院困難な要因を有する患者について、入退院支援加算1の「イ 一般病棟入院基本料等の場合」にあっては原則として7日以内、「ロ 療養病棟入院基本料等の場合」にあっては原則として14 日以内に患者及び家族と病状や退院後の生活も含めた話合いを行うとともに、関係職種と連携し、入院後7日以内に退院支援計画の作成に着手する。また、入退院支援加算2を算定する場合においても、できるだけ早期に患者及び家族と話合いを行うとともに、入院後7日以内に退院支援計画の作成に着手する。
- ここでいう退院支援計画の内容は、以下の内容を含むものとする。
- ア~カ(略)
- リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理等を含む、退院に向けて入院中に必要な療養支援の内容並びに栄養サポートチーム等の多職種チームとの役割分担
④リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(新設)
専任の常勤の管理栄養士の病棟配置を要件とする、リハビリテーション・栄養・口腔の連携を推進するための体制加算が新設されました。
【Ⅱ-3 リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進-①】
急性期におけるリハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の取組の推進
第1 基本的な考え方
急性期医療におけるADLが低下しないための取組を推進するとともに、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進を図る観点から、土曜日、日曜日及び祝日に行うリハビリテーションを含むリハビリテーション、栄養管理及び口腔管理について、新たな評価を行う。
第2 具体的な内容
入院した患者全員に対し、入院後48時間以内にADL、栄養状態及び口腔状態に関する評価を行い、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理に係る計画の作成及び計画に基づく多職種による取組(土曜、日曜及び祝日に行うリハビリテーションを含む)を行う体制の確保に係るリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(1日につき120点)を新設する。
◉新設
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(1日につき) 120 点
[対象患者]
急性期一般入院基本料、特定機能病院入院基本料、専門病院入院基本料を算定する患者
[算定要件] 診療報酬の算定方法の一部を改正する告示:別表第一(抜粋)
リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理を連携・推進する体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者(急性期一般入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病 棟に限る。) 又は専門病院入院基本料(7対1入院基本料又は10対1入院基本料に限る。)を現に算定している患者に限る。)について、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理に係る計画を作成した日から起算して14日を限度として所定点数に加算する。この場合において、区分番号A233-2に掲げる栄養サポートチーム加算は別に算定できない。
[施設基準] 基本診療料の施設基準等の一部を改正する告示(抜粋)
- 当該病棟に入院中の患者に対して、ADL等の維持、向上、及び栄養管理等に資する十分な体制が整備されていること。
- 当該病棟に専任の常勤の管理栄養士が一名以上配置されていること。
⑤経腸栄養管理加算(新設)
適切な栄養管理を推進する観点から、新たに経腸栄養を開始した場合の管理と支援に関する加算が新設されました。
【Ⅱ-4 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価ー⑭】
療養病棟入院基本料の見直し
第1 基本的な考え方(抜粋)
中心静脈栄養が実施される患者割合が増えている実態を踏まえ、療養病棟における適切な経腸栄養の管理の実施について、新たな評価を行う。
第2 具体的な内容(抜粋)
療養病棟に入院中の患者に対し、静脈経腸栄養ガイドライン等を踏まえた栄養管理に係る説明を実施した上で、新たに経腸栄養を開始した場合に一定期間算定可能な経腸栄養管理加算を新設する。
◉新設
経腸栄養管理加算(1日につき)300点
[算定要件] 診療報酬の算定方法の一部を改正する告示:別表第一(抜粋)
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、療養病棟入院基本料を算定する患者について、経腸栄養を開始した場合、経腸栄養管理加算として、入院中1回に限り、経腸栄養を開始した日から起算して7日を限度として、1日につき300点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号A233-2に掲げる栄養サポートチーム加算、区分番号B001の10に掲げる入院栄養食事指導料又は区分番号B001の11に掲げる集団栄養食事指導料は別に算定できない。
[施設基準] 基本診療料の施設基準等の一部を改正する告示(抜粋)
適切な経腸栄養の管理と支援を行うにつき必要な体制が整備されていること。
⑥栄養情報連携料の新設(一部の入院料を除く)
医療と介護における栄養情報連携の推進を目的に栄養情報提供加算の名称、要件及び評価が見直され、入院栄養食事指導料を算定した患者に加え、退院先が他の医療機関や介護保険施設等の患者について、退院先の施設の管理栄養士と連携の上、情報共有した場合も算定可能となりました。
【Ⅱ-3 リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携・推進-⑦】
医療と介護における栄養情報連携の推進
第1 基本的な考え方
医療と介護における栄養情報連携を推進する観点から、入院栄養食事指導料の栄養情報提供加算について、名称、要件及び評価を見直す。
第2 具体的な内容
- 栄養情報提供加算を廃止するとともに、「栄養情報連携料」を新設する。
- 入院栄養食事指導料を算定した患者に加えて他の保険医療機関又は介護保険施設等に転院又は入所する患者について、入院していた保険医療機関の管理栄養士と転院又は入所する先の保険医療機関又は介護保険施設等の管理栄養士が連携の上、入院中の栄養管理に関する情報を共有した場合に算定可能とする。
◉新設
栄養情報連携料 70 点
[対象患者]
- 入院栄養食事指導料を算定した患者
- 退院先が他の保険医療機関、介護保険施設又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律第34条第1項規定する指定障害者支援施設等若しくは児童福祉法第42 条第1号に規定する福祉型障害児入所施設(以下この区分番号において「保険医療機関等」という。)であり、栄養管理計画が策定されている患者
[算定要件] 診療報酬の算定方法の一部を改正する告示:別表第一(抜粋)
- 区分番号B001の 10 に掲げる入院栄養食事指導料を算定する患者に対して、退院後の栄養食事管理について指導を行った内容及び入院中の栄養管理に関する情報を示す文書を用いて説明し、これを他の保険医療機関、 介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する 法律第 34 条第1項に規定する指定障害者支援施設等若しくは児童福祉法第 42 条第1号に規 定する福祉型障害児入所施設(以下この区分番号において「保険医療機関等」という。)の医 師又は管理栄養士に情報提供し、共有した場合に、入院中1回に限り算定する。
- 注1に該当しない場合であって、当該保険医療機関を退院後に他の保険医療機関等に転院又は入所する患者であって栄養管理計画が策定されているものについて、患者又はその家族等の同意を得て、入院中の栄養管理に関する情報を示す文書を用いて当該他の保険医療機関等の管理栄養士に情報提供し、共有した場合に、入院中に1回に限り算定する。
- 区分番号B005に掲げる退院時共同指導料2は、別に算定できない。
⑦回復期リハビリテーション病棟入院料1の見直し(GLIM基準を要件化)
回復期リハビリテーション病棟入院料1では栄養状態の評価にGLIM基準を用いることが必須となり、2~5ではGLIM基準を用いることが望ましいとされました。
【Ⅱ-4 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価-⑬】
回復期リハビリテーション病棟入院料の評価及び要件の見直し
第1 基本的な考え方
より質の高いアウトカムに基づいた回復期リハビリテーション医療を推進する観点から、回復期リハビリテーション病棟の要件及び評価を見直す。
第2 具体的な内容(抜粋)
回復期リハビリテーション病棟入院料の要件及び評価について、以下のとおり見直す。
- 回復期リハビリテーション病棟入院料1及び2の評価を見直す。
- 回復期リハビリテーション病棟入院料1について、入退院時の栄養状態の評価にGLIM基準を用いることを要件とするとともに、回復期リハビリテーション病棟入院料2から5までにおいては、GLIM基準を用いることが望ましいこととする。
◉改定
回復期リハビリテーション病棟入院料
[算定要件] 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(抜粋)
- 回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定するに当たっては、栄養管理に関するものとして、次に掲げる内容を行うこと。ただし、令和6年3月31日時点において現に回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定する病棟については、令和6年9月 30 日までの間に限り、アの「栄養状態の評価には、GLIM 基準を用いること」の要件を満たしているものとみなす。
-
- 当該入院料を算定する全ての患者について、患者ごとに行うリハビリテーション実施計画又はリハビリテーション総合実施計画の作成に当たっては、管理栄養士も参画し、患者の栄養状態を十分に踏まえて行うこと。その際、栄養状態の評価には、GLIM 基準を用いること。なお、リハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計 画書における栄養関連項目については、必ず記載すること。
- 当該入院料を算定する全ての患者について、管理栄養士を含む医師、看護師その他 医療従事者が、入棟時の患者の栄養状態の確認、当該患者の栄養状態の定期的な評価及び栄養管理に係る計画の見直しを共同して行うこと。
- 当該入院料を算定する患者のうち、栄養障害の状態にあるもの又は栄養管理をしなければ栄養障害の状態になることが見込まれるものその他の重点的な栄養管理が必要なものについては、栄養状態に関する再評価を週1回以上行うとともに、再評価の結果も踏まえた適切な栄養管理を行い、栄養状態の改善等を図ること。
- 回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定するに当たっては、栄養管理に関するものとして、次に掲げる内容を行うこと。ただし、令和6年3月31 日時点において現に回復期リハビリテーション病棟入院料1を算定する病棟については、令和6年9月30 日までの間に限り、アの「栄養状態の評価には、GLIM 基準を用いること」の要件を満たしているものとみなす。
-
- 当該入院料を算定する全ての患者について、患者ごとに行うリハビリテーション実施計画又はリハビリテーション総合実施計画の作成に当たっては、管理栄養士も参画し、患者の栄養状態を十分に踏まえて行うこと。その際、栄養状態の評価には、GLIM 基準を用いること。なお、リハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書における栄養関連項目については、必ず記載すること。
- 回復期リハビリテーション病棟入院料2から5を算定するに当たっては、専任の常勤管理栄養士を配置し、栄養管理に関するものとして、次に掲げる内容を行うことが望ましい。
-
- 当該入院料等を算定する全ての患者について、患者ごとに行うリハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書の作成に当たっては、管理栄養士も参画し、患者の栄養状態を十分に踏まえて行うとともに、リハビリテーション実施計画書又はリハビリテーション総合実施計画書における栄養関連項目に記載すること。その際、栄養状態の評価には、GLIM 基準を用いること。
⑧入院時食事療養費の見直し
入院時の食費の基準が見直されました。
【Ⅲ-1 食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応-①】
入院時の食費の基準の見直し
第1 基本的な考え方
食材費等が高騰していること等を踏まえ、入院時の食費の基準を引き上げる。
第2 具体的な内容
入院時食事療養(Ⅰ)・(Ⅱ)の費用の額及び入院時生活療養(Ⅰ)・(Ⅱ)のうち食事の提供たる療養の費用の額について、それぞれ1食当たり30円引き上げる。
◉改正
[改正内容] 入院時食事療養費に係る食事療養及び入院時生活療養費に係る生活療養の費用の額の算定に関する基準の一部を改正する件:食事療養及び生活療養の費用額算定表(抜粋)
第一 食事療養
- 入院時食事療養(Ⅰ)(1食につき)
- (2)以外の食事療養を行う場合 670円
- 流動食のみを提供する場合 605円
- 注 (略)
- 入院時食事療養(Ⅱ)(1食につき)
- (2)以外の食事療養を行う場合 536円
- 流動食のみを提供する場合 490円
- 注 (略)
第二 生活療養
- 入院時生活療養(Ⅰ)
- 健康保険法第六十三条第二項第二号イ及び高齢者の医療の確保に関する法律第六十四条第二項第二号イに掲げる療養(以下「食事の提供たる療養」という。)(1食につき)
-
- ロ以外の食事の提供たる療養を行う場合 584円
- 流動食のみを提供する場合 530円
- 入院時生活療養(Ⅱ)
-
- 食事の提供たる療養(1食につき) 450円
- (略)
- (略)
⑨小児個別栄養食事管理加算(新設)
「小児緩和ケア診療加算」の新設に伴って、「緩和ケア診療加算」における「個別栄養食事管理加算」と同様に、「小児個別栄養食事管理加算」が新設されました。
【Ⅲ-4-2 小児医療、周産期医療の充実-③】
小児緩和ケア診療加算の新設
第1 基本的な考え方
小児に対する適切な緩和ケアの提供を推進する観点から、小児に対する緩和ケアについて、新たな評価を行う。
第2 具体的な内容
緩和ケアを要する小児患者に対して、小児科経験を有する医師及び看護師を含む緩和ケアチームによる診療及びその家族へのケアを行った場合の評価を新設する。
◉新設
小児個別栄養食事管理加算(1日につき) 70 点
[算定要件] 診療報酬の算定方法の一部を改正する告示:別表第一(抜粋)
別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、緩和ケアを要する15歳未満の小児に対して、緩和ケアに係る必要な栄養食事管理を行った場合には、小児個別栄養食事管理加算として、70点を更に所定点数に加算する。
[施設基準]
- 緩和ケアを要する15歳未満の小児患者の個別栄養食事管理を行うにつき十分な体制が整備されていること。
- 当該体制において、緩和ケアを要する患者に対する個別栄養食事管理に係る必要な経験を有する管理栄養士が配置されていること。
⑩生活習慣病に係る医学管理料の見直し(200床未満の病院又は診療所に限る)
生活習慣病管理料の評価及び要件が見直され、検査等を包括する(I)と、包括しない(Ⅱ)に区分されるとともに、特定疾患療養管理料の対象疾患から糖尿病等の生活習慣病が除外されました。
【Ⅱ-5 外来医療の機能分化・強化等-①】
生活習慣病に係る医学管理料の見直し
第1 基本的な考え方
生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から、生活習慣病管理料について要件及び評価を見直すとともに、特定疾患療養管理料について対象患者を見直す。
第2 具体的な内容(抜粋)
- 生活習慣病管理料の評価及び要件について、以下のとおり見直すとともに、名称を生活習慣病管理料(Ⅰ)とする。
-
- 生活習慣病管理料における療養計画書を簡素化するとともに、令和7年から運用開始される予定の電子カルテ情報共有サービスを活用する場合、血液検査項目についての記載を不要とする。あわせて、療養計画書について、患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスにおける患者サマリーに、療養計画書の記載事項を入力した場合、療養計画書の作成及び交付をしているものとみなす。
- 診療ガイドライン等を参考として疾病管理を行うことを要件とする。
- 生活習慣病の診療の実態を踏まえ、少なくとも1月に1回以上の総合的な治療管理を行う要件を廃止する。
- 歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士等の多職種と連携することを望ましい要件とする。糖尿病患者に対して歯科受診を推奨することを要件とする。
- 検査等を包括しない生活習慣病管理料(Ⅱ)を新設する。
- 特定疾患療養管理料の対象疾患から、生活習慣病である、糖尿病、脂質異常症及び高血圧を除外する。
-
- 処方料及び処方箋料の特定疾患処方管理加算についても同様。
- 糖尿病が対象疾患から除外されたことに伴い、糖尿病透析予防指導管理料における算定要件「注3」を削除する。
- より質の高い疾病管理を推進する観点から、特定疾患療養管理料の対象疾患を追加する。
◉新設
生活習慣病管理料(Ⅱ) 333 点
[算定要件] 診療報酬の算定方法の一部を改正する告示:別表第一(抜粋)
- 別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関(許可病床数が200床未満の病院又は診療所に限る。)において、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者(入院中の患者を除く。)に対して、当該患者の同意を得て治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する。ただし、糖尿病を主病とする場合にあっては、区分番号C101に掲げる在宅自己注射指導管理料を算定しているときは、算定できない。
- 生活習慣病管理を受けている患者に対して行った区分番号A001の注8に掲げる医学管理、第2章第1部第1節医学管理料等(区分番号B001の9に掲げる外来栄養食事指導料、区分番号B001の11に掲げる集団栄養食事指導料、区分番号B001の20に掲げる糖尿病合併症管理料、区分番号B001の22に掲げるがん性疼とう痛緩和指導管理料、区分番号B001の24に掲げる外来緩和ケア管理料、区分番号B001の27に掲げる糖尿病透析予防指導管理料、区分番号B001の37に掲げる慢性腎臓病透析予防指導管理料、区分番号B001-3-2に掲げるニコチン依存症管理料、区分番号B001-9に掲げる療養・就労両立支援指導料、区分番号B005の14に掲げるプログラム医療機器等指導管理料、区分番号B009に掲げる診療情報提供料(Ⅰ)、区分番号B009-2に掲げる電子的診療情報評価料、区分番号B010に掲げる診療情報提供料(Ⅱ)、区分番号B010-2に掲げる診療情報連携共有料、区分番号B011に掲げる連携強化診療情報提供料及び区分番号B011-3に掲げる薬剤情報提供料を除く。)の費用は、生活習慣病管理料(Ⅱ)に含まれるものとする。
- 糖尿病を主病とする患者(2型糖尿病の患者であってインスリン製剤を使用していないものに限る。)に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行った場合は、血糖自己測定指導加算として、年1回に限り所定点数に500点を加算する。
- 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、当該保険医療機関における診療報酬の請求状況、生活習慣病の治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合は、外来データ提出加算として、50点を所定点数に加算する。
- 区分番号B001-3に掲げる生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定した日の属する月から起算して6月以内の期間においては、生活習慣病管理料(Ⅱ)は、算定できない。
- 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行った場合は、所定点数に代えて、290点を算定する。
[施設基準] 特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(抜粋)
- 生活習慣病管理料(Ⅰ)及び生活習慣病管理料(Ⅱ)の注1に規定する施設基準
生活習慣病管理を行うにつき必要な体制が整備されていること。 - 生活習慣病管理料(Ⅰ)及び生活習慣病管理料(Ⅱ)の注4に規定する施設基準
外来患者に係る診療内容に関するデータを継続的かつ適切に提出するために必要な体制が整備されていること。 - 生活習慣病管理料(Ⅱ)の注6に規定する施設基準
情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されていること。
⑪慢性腎臓病透析予防指導管理料(新設)
管理栄養士を含む透析予防診療チームによる慢性腎臓病患者への指導の評価が新設されました。
【Ⅲ-5 生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理及び重症化予防の取組推進-④】
慢性腎臓病の透析予防指導管理の評価の新設
第1 基本的な考え方
慢性腎臓病に対する重症化予防を推進する観点から、慢性腎臓病患者に対して多職種連携による透析予防の管理を行うことについて、新たな評価を行う。
第2 具体的な内容
慢性腎臓病の患者に対して、透析予防診療チームを設置し、日本腎臓学会の「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」等に基づき、患者の病期分類、食塩制限及び蛋白制限等の食事指導、運動指導、その他生活習慣に関する指導等を必要に応じて個別に実施した場合の評価を新設する。
◉新設
慢性腎臓病透析予防指導管理料
- 初回の指導管理を行った日から起算して1年以内の期間に行った場合 300点
- 初回の指導管理を行った日から起算して1年を超えた期間に行った場合 250点
[対象患者]
入院中以外の慢性腎臓病の患者(糖尿病患者又は現に透析療法を行っている患者を除く。)であって、透析を要する状態となることを予防するために重点的な指導管理を要する患者
[算定要件] 診療報酬の算定方法の一部を改正する告示:別表第一(抜粋)
- 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、慢性腎臓病の患者(糖尿病患者又は現に透析療法を行っている患者を除き、別に厚生労働大臣が定める者に限る。)であって、医師が透析予防に関する指導の必要性があると認めた入院中の患者以外の患者に対して、当該保険医療機関の医師、看護師又は保健師及び管理栄養士等が共同して必要な指導を行った場合に、月1回に限り算定する。
- 区分番号B001の9に掲げる外来栄養食事指導料及び区分番号B001の11に掲げる集団栄養食事指導料は、所定点数に含まれるものとする。
- 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、慢性腎臓病透析予防指導管理料を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行った場合は、イ又はロの所定点数に代えて、261点又は218点を算定する。
[施設基準] 特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(抜粋)
- 慢性腎臓病透析予防指導管理料の注1に規定する施設基準
-
- 当該療養を行うにつき十分な体制が整備されていること。
- 当該保険医療機関内に慢性腎臓病に関する指導について十分な経験を有する専任の医師及び看護師又は保健師並びに管理栄養士が適切に配置されていること。
- 慢性腎臓病透析予防指導管理料の注1に規定する厚生労働大臣が定める者
透析を要する状態となることを予防するために重点的な指導管理を要する患者 - 慢性腎臓病透析予防指導管理料の注3に規定する施設基準
情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されていること。
[施設基準補足] 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(抜粋)
- 当該保険医療機関内に、以下から構成される慢性腎臓病透析予防診療チームが設置されていること。
-
- 慢性腎臓病指導の経験を有する専任の医師
- 慢性腎臓病指導の経験を有する専任の看護師又は保健師
- 慢性腎臓病指導の経験を有する専任の管理栄養士
- (中略)
- (1)のウに掲げる管理栄養士は、慢性腎臓病の栄養指導に従事した経験を3年以上有する者であること。
- (1)ア、イ及びウに掲げる透析予防診療チームに所属する者のいずれかは、慢性腎臓病の予防指導に係る適切な研修を修了した者であることが望ましいこと。
- (中略)
- (2)から(5)までに規定する医師、看護師又は保健師及び管理栄養士のほか、薬剤師、理学療法士が配置されていることが望ましいこと。
- 腎臓病教室を定期的に実施すること等により、腎臓病について患者及びその家族に対して説明が行われていること。ただし、当該教室はB001の「26」糖尿病透析予防指導管理料に規定する糖尿病教室(腎臓病についての内容が含まれる場合に限る。)の実施により代えることとしても差し支えない。
- 慢性腎臓病透析予防指導管理料を算定した患者の状態の変化等について、別添2の様式13 の10 を用いて、地方厚生(支)局長に報告していること。
⑫介護障害連携加算の算定要件に訪問栄養食事指導に関する実績が追加
介護障害連携加算の実績要件の選択肢に、訪問栄養食事指導に関する実績が追加されました。
【Ⅱ-2 生活に配慮した医療の推進など地域包括ケアシステムの深化・推進のための取組-⑭】
有床診療所における医療・介護・障害連携の推進
第1 基本的な考え方
地域包括ケアシステムにおける有床診療所の機能を踏まえ、有床診療所が医療・介護・障害サービス等における連携を推進するために、介護連携加算の要件を見直す。
第2 具体的な内容 (抜粋)
介護連携加算の施設基準である介護サービスの提供について、介護保険の訪問リハビリテーション、訪問栄養食事指導及び障害福祉サービスの医療型短期入所の提供実績を追加する。
⑬在宅療養支援診療所・病院における訪問栄養食事指導の推進
訪問栄養食事指導について、在宅療養支援病院には自院での体制整備を求め、在宅療養支援診療所は栄養ケア・ステーションや他の保険医療機関との連携も含めた体制整備が望ましいこととされました。
【Ⅱ-8 質の高い在宅医療・訪問看護の確保-⑩】
在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院における訪問栄養食事指導の推進
第1 基本的な考え方
訪問栄養食事指導の推進を図る観点から、在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院について要件を見直す。
第2 具体的な内容
医師が栄養管理の必要性を認めた患者に対して訪問栄養食事指導を行うことが可能な体制の整備を推進する。
◉改定
在宅療養支援診療所
[施設基準]特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(抜粋)
- 次のいずれの基準にも該当するものであること。
- イ~ワ (略)
カ 訪問栄養食事指導を行うことが可能な体制をとっていること。
[施設基準補足] 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(抜粋)
1 在宅療養支援診療所の施設基準
次の(1)から(3)までのいずれかに該当するものを在宅療養支援診療所という。
(中略)
- 診療所であって、当該診療所単独で以下の要件のいずれにも該当し、緊急時の連絡体制及び24時間往診できる体制等を確保していること。
- (中略)
-
- 当該診療所において、当該診療所の管理栄養士又は当該診療所以外(公益社団法人日本栄養士会若しくは都道府県栄養士会が設置し、運営する「栄養ケア・ステーション」又は他の保険医療機関に限る。)の管理栄養士との連携により、医師が栄養管理の必要性を認めた患者に対して訪問栄養食事指導を行うことが可能な体制を整備することが望ましい。
在宅療養支援病院
[施設基準] 特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(抜粋)
- 次のいずれの基準にも該当するものであること。
- イ~ワ (略)
- カ 訪問栄養食事指導を行うにつき十分な体制が整備されていること。
[施設基準補足] 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(抜粋)
- 在宅療養支援病院の施設基準
次の(1)から(3)までのいずれかに該当するものを在宅療養支援病院という。
(中略) - 病院であって、当該病院単独で以下の要件のいずれにも該当し、緊急時の連絡体制及び24時間往診できる体制等を確保していること。
(中略) -
- 当該病院において、当該病院の管理栄養士により、医師が栄養管理の必要性を認めた患者に対して訪問栄養食事指導を行うことが可能な体制を整備すること。
- 機能強化型のうち連携型の在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院並びに機能強化型以外の在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院についても同様。
[経過措置]
令和6年3月31日において現に在宅療養支援病院に係る届出を行っている保険医療機関については、令和7年5月31日までの間に限り、第四の一の(1)のカ、(2)のカ若しくは(3)のヲに該当するものとみなす。