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【栄養ケア・ステーションの最前線 #01-2】医師会会長に聞く!医師会内に、認定栄養ケア・ステーションを設置する理由とは?

栄養ケア・ステーションの最前線 #01-2

一般社団法人横浜市青葉区医師会 山本俊夫医師会長(山本内科循環器医院)

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―横浜市青葉区医師会に栄養ケア・ステーションを立ち上げて約3年が経過しました。医師会の先生方にとってのメリットを教えてください。

 山本:多くのクリニックにとって管理栄養士を常勤で雇うことはなかなか難しい状況です。それほど栄養指導の需要があるわけではないからです。従来は、たとえば当クリニックでは、栄養指導が必要だと判断した患者さんには、管理栄養士がいる近隣の病院に出向いてもらって、栄養指導を受けてもらうようにしていました。「病院の栄養士さんに教えてもらえてよかった」と、患者さんは喜んでいましたよ。とはいえ、患者さんにはあちこち出向く負担がありましたし、私の診察と栄養指導の期間があいてしまってタイムリーな情報共有ができないという課題もありました。医師会に栄養ケア・ステーションを設立してからは、FAX1枚で栄養指導の予約をお願いするだけで、患者さんの次の診療と同じ日に当院で栄養指導が実施できるようになりました。それが一番のメリットですね。

―横浜市青葉区医師会認定栄養ケア・ステーションが抱える課題は何でしょうか?

 山本:特に大きな課題はないと思います。この日時に管理栄養士をお願いしたいと依頼を出して、これまで一度も都合がつかなかったことはありません。でも、各クリニックから栄養指導の需要がもっと増えてくると、登録管理栄養士の数が少ない状況では対応できないことがありえるかもしれませんね。その点は懸念しています。

―青葉区内で栄養指導を依頼してくださるクリニックの数をもっと増やしたいと考えているのですが、その点はいかがでしょうか?

 山本:医師会では、栄養ケア・ステーションへの依頼の仕方を図表にするなどして、医師会会員にわかりやすく説明しています。また、毎月の栄養ケア・ステーションの実施件数・実施内容などは理事会で報告され、その議事録はホームページ上で公開しています。栄養ケア・ステーションのことに限らず、会員にはさまざまな情報をこまめにアナウンスしているのですが、会員の医師たちが忙しい診療の合間にホームページに目を通したり、新しく何かを始めるのは難しいのかもしれません。栄養指導の効果をもっと公表していかなければなりませんね。一度、栄養指導を依頼して、患者さんへの効果がわかれば、依頼は継続するはずです。

―日本栄養士会としては、医師会立の栄養ケア・ステーションを全国に普及したいと考えているのですが、どのようなアプローチが必要でしょうか?

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 山本:医師会立の栄養ケア・ステーションは3つの点が線になって、それが面になって広がっていくものと感じています。まず1つめの点ですが、その地域の管理栄養士がそれなりの人数で集まること。フリーランスの管理栄養士だけでなく、病院勤務の管理栄養士もメンバーに入って活動できるのが望ましいです。そして、その中で管理栄養士をまとめるキーパーソンとなる人が必要です。2つめの点は、医師会側。病院勤務の管理栄養士に参加してもらうには、勤務している病院長の理解が必要となります。医師会が間に入り病院長の理解を求めていければと思います。また、栄養ケア・ステーションを使うメリット、使い方などを常に宣伝する医師が必要です。3つめの点は、事務局として裏方で動ける人です。そしてその事務局を医師会内に置くことです。この3つの点で、栄養ケア・ステーションを活用した栄養指導が地域の患者さん、病院、クリニックにとってメリットをもたらすことをアピールし続け、線から面へと、その活動を広げていくと良いと思います。したがって、医師会立の栄養ケア・ステーションは管理栄養士だけで立ち上げられるものではありませんが、立ち上げるためには、それなりの数の管理栄養士が参画できる状態であることが1つの条件になります。

―栄養ケア・ステーションの登録管理栄養士に、フリーランスだけでなく、病院の管理栄養士も加わったほうが良いのは、なぜでしょうか?

 山本:フリーランスの方のほうが融通が利きそうなイメージがあるとは思うのですが、実際には「金曜日は別の仕事です。」などとすでに予定が埋まっている場合があり、スポットで「この時間だけ来てほしい」とお願いしたくてもタイミングが合わないケースがあります。逆に、病院で管理栄養士が複数人いるようなところの方であれば、その時間だけ仕事を調整してクリニックに来てもらうことが可能な場合があります。もちろん、その病院の院長に許可をいただかなければなりませんし、管理栄養士の報酬をどうするかも双方で検討しなければなりません。医師会からも病院院長に対して、患者さんのため、地域のために、病院の管理栄養士がクリニックで栄養指導できる環境を一緒に作りましょうと、訴えていく必要があります。

―この「青葉区医師会モデル」を広げていきたいですね。

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 山本:当医師会では、事業の1つに栄養ケア・ステーションを入れました。医師会立の訪問看護ステーションや在宅医療連携拠点と同じように、各地域の医師会で栄養ケア・ステーションを事業に入れていけばよいと思います。依頼するためのFAXを1枚送るだけで、必要な患者さんに管理栄養士が栄養指導に来てくれるし、赤字にもなりません。医師会会員の医師にとって、とても良い仕組みであると自負できます。

―ありがとうございました。

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