【農林水産省】「平成29年度食育白書」を公表
2018/06/01
ニュースのポイント
- 週の半分以上、一日のすべての食事を一人で食べている「孤食」の人は約15%で、平成23年度と比べて5ポイント増加
- 一人で食べる理由として、一人で食べたくないが一緒に食べる人がいない人は31.1%
- 食事を通じたコミュニケーションの場を作り出すことが重要
農林水産省は5月29日、平成29年(2017)度に全国で講じられた食育を推進するための施策についてまとめた「平成29年度食育推進施策」(平成29年度食育白書)を公表した。現在は、2020年度まで「第3次食育推進基本計画」をもとに食育の施策が進められているが、その基本的な方針として(1)若い世代を中心とした食育の推進、(2)多様な暮らしに対応した食育の推進、(3)健康寿命の延伸につながる食育の推進、(4)食の循環や環境を意識した食育の推進、(5)食文化の継承に向けた食育の推進、の5つが重点課題となっている。この白書内で「専門的知識を有する人材」として取り挙げられている管理栄養士・栄養士は、どの職域であっても日ごろからこれら5つの課題を意識して、自らの仕事に取り組む必要がある。
今回の食育白書は第1部:食育推進施策をめぐる状況、第2部:食育推進施策の具体的取り組み、第3部:食育推進施策の目標と現状に関する評価、の3部構成。第1部の特集では、基本的方針の1つである「多様な暮らしに対応した食育の推進~食卓を囲み食事を共にすることから始める食育の環~」が約30ページにわたり展開されている。
今回の調査で、週の半分以上、一日のすべての食事を一人で食べている「孤食」の人は約15%で、平成23年(2011)度に比べて5ポイント増加したことがわかった。また、「孤食」の人が一人で食事を食べることについて「一人で食べたくないが、食事の時間や場所が合わないため、仕方ない」(35.5%)、「一人で食べたくないが、一緒に食べる人がいないため、仕方ない」(31.1%)と回答しており、食事を通じたコミュニケーションや食体験が乏しくなっている傾向があることがわかった。こうした現状に対して、乳幼児から高齢者までが食卓を囲むサロン活動(宮城県)や顔を合わせる機会が少ない社員のランチ会(東京都)、地産地消に取り組む子ども食堂(長野県)等が取り上げられている。
食育推進基本計画では毎年6月を「食育月間」と定めている(毎月19日は「食育の日」)。平成30年(2018)度の重点事項の(1)にも「食を通じたコミュニケーションの促進と子供の生活リズムの向上」が掲げられている。栄養の指導をする立場に立つだけでなく、職場や地域の人々と食のコミュニケーションを共に作ることも、管理栄養士・栄養士に求められている専門性と言えるだろう。
■「平成29年度食育白書」の公表について(農林水産省)
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