管理栄養士国家試験について
年に1度開催される管理栄養士国家試験。合格基準から出題基準、出題形式まで解説します。
管理栄養士国家試験とは
管理栄養士は国家試験の合格が必要、
栄養士は養成施設の卒業と同時になれます
栄養士は、栄養士養成施設で学び卒業することで、都道府県知事の免許を受けて「栄養士」になることができます。一方、管理栄養士は、管理栄養士養成施設で学び、管理栄養士国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けて「管理栄養士」になることができます。また、栄養士養成施設で学んだ人も、卒業後に栄養士として働き、管理栄養士国家試験に合格すれば「管理栄養士」になることができます。
国家試験を受けるために必要な実務経験
管理栄養士養成校を卒業していない、または卒業見込みでない場合、栄養士としての実務経験が必要になります。実務経験として認められる施設と、必要な実務経験年数は以下です。
実務経験として認められる施設
- ・寄宿舎、学校、病院等の施設であって、特定多数人に対して継続的に食事を供給するもの
- ・食品の製造、加工、調理又は販売を業とする営業の施設
- ・学校、専修学校、各種学校、幼保連携型認定こども園など
- ・栄養に関する研究施設及び保健所その他の栄養に関する事務を所掌する行政機関
- ・ほか、栄養に関する知識の普及向上その他の栄養の指導の業務が行われる施設
必要な実務経験年数
- ・2年制の栄養士養成施設を卒業 → 3年以上の実務
- ・3年制の栄養士養成施設を卒業 → 2年以上の実務
- ・4年制の栄養士養成施設を卒業 → 1年以上の実務
- ※管理栄養士国家試験の受験申し込み締め切り日までに上記の実務経験年数が必要です(第32回管理栄養士国家試験より、「同年度内の実務経験見込み」での受験はできなくなっています)
合格基準と合格率
合格基準
配点を1問1点とし、200点満点中、総合点で約60%の正答率が合格基準となっています。
過去5年間の合格基準は以下です。
合格基準得点/満点 | 正答率 | |
---|---|---|
第35回 | 120点以上/200点 | 60.0% |
第34回 | 120点以上/200点 | 60.0% |
第33回 | 120点以上/200点 | 60.0% |
第32回 | 119点以上/200点 | 59.8% |
第31回 | 120点以上/200点 | 60.0% |
合格率
2021年2月28日(日)に実施された「第35回管理栄養士国家試験」の受験者数や合格率は以下です。
受験者数:16,019人
合格者数:10,292人
合格率:64.2%
直近、10年の合格率は、以下です。
旺文社教育情報センター「第34 回 管理栄養士 国家試験結果」(2020 年4 月20 日)をもとに作成
出題基準、出題科目と配分、出題形式について
出題基準
厚生労働省が設置する管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)改定検討会によって検討された出題基準に基づいて出題されています。出題基準は、おおむね4年に一度改定されます。
最新の出題基準は「平成31年管理栄養士国家試験出題基準(ガイドライン)検討委員会報告書」に示されており、第34回(2020年3月実施)の試験から適用されています。
最新の出題基準での変更点は、応用力試験の出題が20題から30題に変更されたことが挙げられます。個人又は集団における種々の状況に応じた栄養管理を実践する上で必要な知識、思考・判断力を備えているかについて、評価がより一層可能となるよう変更となりました。
出題科目と、問題数、時間配分は以下です。
出題科目 | 問題数 (現在) |
問題数 (改定前) |
時間配分 |
---|---|---|---|
社会・環境と健康 | 16問 | 17問 | 10:00~12:25 (2時間25分) |
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち | 26問 | 27問 | |
食べ物と健康 | 25問 | 25問 | |
基礎栄養学 | 14問 | 14問 | |
応用栄養学 | 16問 | 16問 | |
栄養教育論 | 13問 | 15問 | 13:40~16:20 (2時間40分) |
臨床栄養学 | 26問 | 28問 | |
公衆栄養学 | 16問 | 18問 | |
給食経営管理論 | 18問 | 20問 | |
応用力試験 | 30問 | 20問 | |
計 | 200問 | 200問 | 5時間5分 |
出題形式
出題形式については、正しいもの(5つの選択肢から1つ又は2つの正解肢)を回答することを原則とする、マークシート方式です。栄養管理を実践する上で必要な思考・判断力を評価する問題では、最も適切なものを問うこととしています。
まとめ
これから受験される方へ
管理栄養士国家試験は、管理栄養士の「専門職としての資質」を担保するために重要な役割を担っています。最近の試験で、応用力試験の出題数が増加し、分野横断的な考え方が求められるようになっているのは、管理栄養士として論理的に適切な解を導く力が社会から求められているからです。
管理栄養士国家試験への取り組みを、単純な知識の暗記学習として捉えるのではなく、複合的な課題を解決するための思考力の鍛錬と捉え、日々取り組むことが、現場で役立つ生きた知識と技術につながります。ぜひ、現場で活躍する際のご自身をイメージしながら取り組んでください。
管理栄養士資格を取得した方へ
管理栄養士国家試験に合格された方々は、国から「専門職としての資質」を認められた方々です。ご自身の知識・技術に自信を持って活躍することが期待されています。一方、個々の事例に適切に対応できるようになるためには経験を積みながら、新たな知識・技術を習得していくことが重要です。また、食と栄養に関する知識・技術は日々進化・発展しているため、アップデートも欠かせません。社会のニーズに応えられる管理栄養士であり続けるために、資格を取得した後も情報収集と自己研鑽を続けましょう。
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