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【フリーランスの現場】管理栄養士にステップアップして開けた、フリーランスの道

管理栄養士・栄養士の「就活」と「働く」がリアルにわかる!
訪問! 現場で活躍するセンパイ #06

千葉七海さん(個人事業主、管理栄養士)

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 フリーランスの管理栄養士として働く千葉七海さん。特定保健指導・高齢者訪問・疾病管理指導等の業務を担当、自治体の地域栄養プロジェクトに参加する等、活躍の場を広げています。個人事業主として独立するまでの経緯や苦労、そしてフリーランスの可能性やこれからの夢についても語ってもらいました。

プロフィール:
東京都出身。女子栄養大学短期大学部卒業。給食受託会社、私立認可保育園、飲食店勤務を経て、2021年に個人事業主として独立。社会人経験8年。

現在のお仕事に就くまでのことを教えてください

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管理栄養士になりたいと思ったきっかけ

 私が生まれ育った八丈島の小学校では、畳の上に座り、みんなで給食をいただいていました。そんな時間が私は大好きでしたし、食べることにも興味があったので食に関わる仕事ができればと思っていました。高校を卒業すると島から出る人が多いのですが、私は将来八丈島に戻りたくて、栄養士なら島の病院や福祉施設、学校等で働けると思い、栄養士養成の短大へ進学しました。卒業後は就職。4年制大学への編入は考えませんでした。すぐにでも働きたい、社会に貢献したいという気持ちが強かったからです。
 就職して社員食堂で働いている時、管理栄養士の先輩が活躍する姿を見て、もっと責任のある仕事をしたい、幅を広げたいと考え、働きながら勉強し管理栄養士の資格を取りました。

就職活動の際に苦労したこと、心がけていたこと

 短大に入学して半年後には就職活動を始めました。学ぶことと、就職活動が並行していたので大変でしたが、スケジュールを立てて物事を進めていけるようになりましたね。就職先は、食で喜んでいる姿を間近で感じたかったので、社員食堂を運営する給食受託会社を探しました。社員食堂で働くと食堂の管理や運営等も学べると感じたのも理由の一つです。給食受託会社の場合、病院等に配属されるケースがあるので、配属先が社員食堂に限定される会社を探しました。とはいえ、思い描く就業先を見つけるのは予想以上に大変でした。情報収集の幅はとにかく広く、例え思い描く内容とは異なっていても、話を聞きに行く等アクションを起こすことです。 現代は、インターネットである程度の情報収集は出来ますが、足を運ばないと得られない情報も多数あります。訪問できる場にはなるべく訪問し、同職種の先輩や卒業生に連絡してみる等、アクションを起こすことは大切だと思います。

 私の場合、2年生になってすぐ該当する会社を見つけたものの、短大卒の募集はありませんでした。応募すらできないことは大きなショックでしたが、あきらめずにその会社のサイトを粘り強く見続けていたら、短大卒の募集が始まったので早速応募。念願の会社への就職が決まりました。受け身の姿勢ではなく、積極的に行動することが良かったと振り返ります。
 今思えば、もっといろいろな人に相談すればよかったかなと思います。自分の中のモヤモヤした気持ちや悩んでいたことを、学校や先生に相談すると解決の糸口が見えたのかもしれません。 就職はゴールではなくスタート・通過地点だと考えています。第一希望の施設・会社に入ることがかなわなくても、その仕事で経験したことは必ず後の人生に生きてきます。第二・第三志望の場所に就職して、どうしても第一志望の場所へ行きたい場合は、中途採用に応募し、希望をかなえることもできるでしょう。

学生時代の経験や勉強したことで役に立ったこと

 社員食堂から次のステップとして保育園に転職しました。そこでは栄養管理のほか、調理をする機会もあったので調理実習の経験が役に立ちました。実際に手を使い、感じてみないと分からないことも多くあります。調理技術は必須ではありませんが、栄養管理においても、調理ができるに越したことはありません。また、食物アレルギーに関しては知識として学校で学んでいましたが、保育園には食物アレルギーを持っている子どもが実際にいて、その対応の重要性を実感しました。
 学生時代のアルバイトでは、飲食店での接客や調理のお手伝いをしていました。お客さまが何を望むか、満足してもらうにはどうすればよいか、どう仕事を進めていけばよいかの段取りも学べました。

今のお仕事について教えてください

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現在、担当している業務

 最初に就職した給食受託会社では2,000人規模の社員食堂に栄養士として従事。転職した保育園では栄養士業務や調理業務全般に関わったほか、新規の園を立ち上げる際は厨房の設備選定や環境整備をはじめ、後輩の指導もしていました。
 管理栄養士の資格取得後、自由な形で働きたい、可能性をもっと広げたいと考え、思い切って個人事業主として独立しました。今は主に生活習慣病予防事業を行っている企業から業務委託を受けて、特定保健指導・高齢者訪問・疾病管理指導を月に50~100件行っています。特定保健指導は企業を訪問し、直接面談するのが基本ですが、今ではICT面談でオンラインも増えており、お話をする対象者は全国に広がっています。
 また、地域栄養のプロジェクトとして自治体が健康的な食生活を応援する飲食店を登録するプロジェクトに参加し、協力店増に向けた取り組みやメニュー開発支援をしています。一つの仕事から人のつながりにより、新たな仕事のお話をいただくなど、仕事の幅が広がっています。

仕事で大変なことや工夫していること

 特定保健指導は、健康保険組合側で対象者を選定のうえ、指導の依頼が入ります。しかし、対象者は特定保健指導の目的や内容について必ずしもご理解されているとは限りません。保険の営業ですか?と聞かれることも。制度の背景や目的、内容について丁寧に説明する等、対象者と信頼関係を築くことをまず心がけるようにしています。いま私が担当している指導内容は減量が多いですが、対象者の方それぞれに思考や環境が異なります。目標に到達していただけるよう、常にスキルアップしていかなくてはと思っています。
 なぜフリーランスで仕事をするのかという明確な理由と目標がとても重要です。もし、迷いがあるようなら、まずは企業等に就職した方がよいでしょう。ビジネスマナーやコミュニケーション能力も身に付きますし、生活の安定も得られるからです。また、情報収集とスキルアップは常に意識すべきですが、個人で事業をしていると横のつながりがやや希薄になってしまいます。日本栄養士会等の団体が行う研修会に参加するのもスキルアップの一つの方法ですね。
 それから、自分の望む生活をするには、どれくらいの収入が必要かを考え、目標金額を定めてから行動を起こすことも大切です。目標がふわっとしたままフリーになると、続かないと思います。

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やりがいを感じるとき

 社員食堂勤務の時はパートの方40~50人に指示を出す役割だったのですが、コミュニケーションがスムーズに取れ忙しい時間の食堂運営がうまく行ったときには達成感を感じ、「おいしかったよ」と言われとてもうれしかったです。保育園の時は野菜が苦手だった園児が自発的に好んで食べた時、あの子ができるようになったと、子ども達が成長することに喜びを感じました。そして今は特定保健指導をしていますが、どの職場でも一番うれしい瞬間は「ありがとう」と言われた時です。管理栄養士としていろいろな人の健康に寄与できるのが喜びでもあります。

今後の夢や取り組んでみたいこと

 さまざまな人に出会い仕事をする中で、私は人と関わること、話すことが好きなんだと気付けました。今までは周囲の方から私を応援してもらったので、今度は私がいろいろな人を応援し、社会に貢献したいと考えています。
 社会に出た時からずっと考えているのは、私を育ててくれた八丈島に貢献できる人間になることです。島の病院等で管理栄養士として働くのも八丈島への貢献ですが、それだけでなく、八丈島のことを知ってもらうことも貢献の一つだと思います。とにかくいろいろな「貢献」をしたい、それを今は模索中です。

1日のタイムスケジュール

  1. 5:00

    起床

  2. 7:00

    メール確認・プロジェクトの進捗確認

  3. 7:30

    散歩

  4. 8:00

    受託事業の進行

  5. 10:45

    休憩

  6. 11:00

    特定保健指導(ICT面談、継続支援等)

  7. 12:00

    休憩

  8. 12:45

    昼寝

  9. 14:30

    特定保健指導(対面面談)

  10. 16:30

    業務振り返り・明日の予定確認

  11. 20:00

    夕食

  12. 21:00

    自由時間

  13. 22:00

    就寝

 前日の仕事の最後に次の日のタイムスケジュールをつくって、何時から仕事を始め、この時間に何をする、移動の時間はこれくらい、と配分を決めます。1日の終りに振り返って予定通りに終ったら、今日はうまくいったと喜びを感じます。
 同じ仕事を長時間続けるのではなく、一つひとつのタスクにかける時間を短くし、飽きないように工夫しています。タイマーをかけてこの10分は何もしないとか、メリハリをつけています。フリーランスなので時間の管理には非常に気を使っています

OFFの時間や休日の過ごし方

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 休みがほしい時は「休みの予定」を入れています。少し日数が取れると八丈島に帰ったり、旅行が好きなので沖縄や北海道へと行ったりしています。時間の使い方を誰かに決められるのではなく、自分で調整できるのはフリーの特権ですね。また、最近はネット環境があればどこでも仕事ができるので、1日しっかり休みという日は少なく、時間を短く区切って仕事をする場合もあります。仕事が好きなので、あまり大変とは思っていないですね。
趣味はクラリネットで、演奏会に参加することもあります。練習時間もしっかり区切って確保し、演奏を楽しんでいます。
※写真は故郷の八丈島の景色、参加した演奏会の様子

学生へのメッセージ

 興味を持ったことは、ぜひ挑戦するといいでしょう。たくさんの人と出会って、いろんな場所に足を運んでほしいです。時間がないから、お金がないから、とやらない理由をつけて諦めるのではなく、自分のやりたいことをどうすればできるのか、を考えるとよいでしょう。できないことはないくらいに思った方がいいでしょうね。  例えば、学生の皆さんにぜひ心がけていただきたいのは、時間を有効に使うために授業は集中して出席し、授業時間内に全て覚えてしまうぐらいの気持ちで望むことです。そうすれば授業の後に、自分のやりたいことができる時間ができますよね。  就職活動では自分のやりたいことや、やりがいを追求することも重要ですが、先輩や先生に相談して職場環境を知ることも大事です。世界をできるだけ広げて、自分に合う進路を見つけてください。
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