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【医療の現場】やりがいは患者さんの声、信頼関係を築ける栄養指導を

管理栄養士・栄養士の「就活」と「働く」がリアルにわかる!
訪問! 現場で活躍するセンパイ #01

宮下智香さん(自治医科大学附属さいたま医療センター栄養部 管理栄養士)

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 「様々な病気についての知識や対応力を、働きながら身につけたい」。そんな理由から、数多くの診療科が揃う大学病院勤務を志望したという宮下さん。「医療系の就活は大変?」、「仕事の内容は?」など、病院で働く管理栄養士のリアルをお聞きしました。
プロフィール:
埼玉県所沢出身。日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻卒業。自治医科大学附属さいたま医療センターにて管理栄養士として勤務。勤続年数4年。

現在のお仕事に就くまでのことを教えてください

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管理栄養士になりたいと思ったきっかけ

 高校1年生のときに模試を受けるため進路を決めなくてはならず、食べることが好きだったので、食のプロフェッショナルになりたいと思って見つけたのが管理栄養士という仕事でした。大学進学後、授業の中で病気と栄養の関わりを学んでいくうちに、臨床栄養に興味を持ちました。

就職活動の際に苦労したこと、心がけていたこと

 病院の管理栄養士・栄養士の就職情報は、一般の求人サイトにほとんど載っていませんでした。そのため、就職したい病院のサイトに募集が出ていないか、こまめにチェックしていました。病院勤務希望の友人と情報共有したり、先生や先輩から人づてに情報を集めたり、とにかく情報収集が大変でしたね。就活を始めたのは4年生になる前の2〜3月くらいから。その頃はまだ情報が全く出ておらず、募集が始まったのは5月頃からだったと思います。一般企業の就職活動より動き出しが遅めなので、周りがどんどん決まっていくと不安で焦ることもありました。実は、委託給食会社も1社受けたのですが、準備不足もあり、不採用になりました。でも、その経験が「やっぱり病院で働きたい」という想いを改めて強くさせてくれました。
 今勤務している病院の採用試験は少し特徴的で、臨床栄養などの専門分野のほかに、国語や数学、時事問題など一般教養試験もありました。他の病院の採用試験では、グループワークで症例についてのディスカッションもありましたね。過去に先輩が同じ病院に就職していて、そのときの情報をまとめたものが大学の研究室に保管されていたので、試験内容を事前に想定できたのは助かりました。私は比較的早く7月下旬頃に採用が決まりましたが、ほかの病院勤務希望の同級生は、秋頃に決まる人が多かったです。

学生時代の経験や勉強したことで役に立ったこと

 「栄養教育論」の授業の中で、集団栄養指導を想定した演習があり、1からプロセスを組み立てて取り組めたことが今の業務にも生きています。ただ、実際に働いてみて、大学での勉強だけでは補えきれないことも実感しました。さまざまな患者さんに栄養指導するにあたって、学生のうちからもっとたくさんの人の食事や生活を見聞きしておけばよかったと思います。普段からコンビニやスーパーなどで売っているものの栄養素量やエネルギー量をチェックしたり、友人の食生活を観察したり、もっと「食」に関して視野を広げておけばよかったなと、社会に出てから感じましたね。

今のお仕事について教えてください

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現在、担当している業務

 主な業務は、患者さんへの栄養指導です。自分の担当している病棟の患者さんの栄養指導をはじめ、日によっては外来の通院患者の方の栄養指導も行っています。職場では看護師と連携して、患者さんの食事の様子や特徴などカルテだけでは読み取れない情報を確認することも多いです。
 当院では、給食業務は委託しており、入職1年目は特別食の献立作成などが中心でした。2年目の途中くらいから指導業務に携わるようになりました。同じ部署には、何かあると相談できる先輩もいて心強いですね。年齢層は幅広いですが、全体的にアットホームで働きやすい職場です。

仕事で大変なことや工夫していること

 今、栄養管理を担当している病棟が2病棟あり、1病棟がトータルで40~50人くらい患者さんがいるのですが、なかなか全員と関わる時間が取れず、その中でも食事の摂取量が少ない方など、低栄養リスクの高い患者さんを優先しています。本当はもっと病棟に行って患者さんと接したいのが本音ですが、病棟での栄養管理業務の他に、栄養指導業務や給食管理業務等もあり、段取りを組むのが難しい状況なので、時間管理や他職種との連携によって改善できればと思っています。
 食事療法を行うのは患者さん自身なので、栄養指導をするときは押しつけにならないような伝え方を心がけています。一方的な視点で情報を伝えるのではなく、その患者さんと一緒にどこをどうしていくか、これならできそうか、などといったことを考えながら、「やってみよう」と思ってもらえるような信頼関係を築くことが大事だと考えています。

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やりがいを感じるとき

 「3食の食事が楽しみ」や「急な入院で不安だったけど安心した」等と言ってもらえるとうれしいですし、そのような声をいただけるところにやりがいを感じますね。疾患のある患者さんを、食事の面でサポート、ケアするのが私の仕事です。相手に寄り添う、相手の立場に立ってものを考えられる、相手のためになりたいという気持ちを持っている人が、この仕事に向いているのではないでしょうか。

今後の夢や取り組んでみたいこと

 今後はより専門的な知識を持った管理栄養士になりたいです。私は今、心臓系の循環器病棟を担当しているので、心不全などの専門知識をもっと深めていきたいと思っています。心不全は良い状態と悪くなる状態を繰り返す病気なので、再入院をすることも多い病気です。そのため、慢性期のステージでは減塩食の指導をはじめ生活全体をサポートしながら、いかに入院の繰り返しを防ぐお手伝いができるかが管理栄養士の腕の見せどころです。まずは医療に携わる管理栄養士としての知識をもっと深め、日本栄養士会や各種学会の認定資格も今後取得していきたいと思っています。具体的には、日本栄養士会の専門分野別認定制度の申請資格にもなっている病態栄養専門管理栄養士をまずは取得したいと考えています。

1日のタイムスケジュール

  1. 6:00

    起床

  2. 7:00

    家を出発

  3. 8:15

    出勤

  4. 8:30

    朝ミーティング

  5. 9:00

    栄養指導業務

  6. 12:00

    休憩

  7. 13:00

    栄養指導業務

  8. 15:30

    栄養指導記録作成

  9. 15:45

    夕ミーティング

  10. 16:00

    担当病棟の患者さんの食事摂取状況確認

  11. 16:15

    病棟訪問、カルテ記録

  12. 16:45

    翌日の栄養指導の予約状況確認

  13. 17:15

    退勤

  14. 19:00

    帰宅、自由時間

  15. 22:30

    就寝

通勤時間は電車で約1時間。朝ミーティングでは病院側の管理栄養士と委託給食会社の管理栄養士とで状況報告を行います。午前中の業務は、栄養指導業務で埋まることがほとんど。午後も引き続き栄養指導を行い、栄養指導記録作成では患者さんごとの食事指導内容をまとめて医師に報告します。今はコロナ禍で中断していますが、月1回、私たち管理栄養士の他、医師、看護師、理学療法士、薬剤師、が集まって情報共有や方針の確認を行うカンファレンスがあります。残業はほとんどありませんが、あっても1時間程度です。

OFFの時間や休日の過ごし方

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音楽が好きなので、通勤中に好きなアーティスト「UNISON SQUARE GARDEN」の曲を聴いて気分を高めています。自宅での楽しみは夫と一緒にゲームすること。テレビゲームやカードゲームもよくやります。休日は平日分の作り置きおかずを一気に作り、達成感を味わうのがストレス発散になっています。コロナ禍前は、好きなアーティストの地方のライブに、旅行を兼ねて遠出するのが楽しみでした。休みは週休2日で、土日も病院食が出るので月2〜3回は土日出勤がありますが、平日に代休を取得できます。6連勤以上になったりすることはありません。 ※写真はお気に入りの「UNISON SQUARE GARDEN」のCDやライブグッズと、夫婦でゲームを楽しむ様子

学生へのメッセージ

患者さんと接する仕事なので、知識はもちろんですがコミュニケーション能力がとても重要です。学生のうちから、アルバイトで接客業をするなどさまざまな人と接しておくと、就職後役に立つと思います。何気ない会話から患者さんとの共通点が見つかったり、話が盛り上がったりすることもあり、それがきっかけで信頼を得られることもあります。この仕事は、まずこちらの話に耳を傾けてもらうことが第一です。そのための工夫や会話の引き出しはたくさん持っておくと武器になります。患者さんに寄り添い、信頼関係を築ける管理栄養士を目指してほしいなと思います。
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